FC2ブログ

ココナッツ図書館 夜間書庫

スポンサー広告

スポンサーサイト

--.--.--  *Edit 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



登録させていただいているサイト様
「山間の城の物語」に投票
 ↑現在連載中の「山間の城の物語」が気に入ったら、クリックして投票してください。
「乙女の裏路地」へ 「にほんブログ村 小説ブログ」へ
fc2ブログランキングへ投票 「十八禁恋愛私花集」へ
*Edit TB(-) | CO(-) 

王都の冒険者たち」
第二話 地下都市

第二話: 地下都市 16

2010.02.28  *Edit 

 扉の前まで来て、シャムリーナはためらった。
 エミリーの師匠の研究室入り口はぴたりと閉じられている。当たり前ではあるが。
(どーしよ……)
 師匠に薬を作ってもらったものの、果たして中に入っていいものかどうか、彼女は迷った。
 エミリーの看病をシーマスに頼んだのは、咄嗟のことだったが、ジェフリーに言われたように、失敗だったかもしれない。
『あんな鬼畜に、エミリーの面倒見させるなんて、それでも友達かよー』
 ジェフリーは、シャムリーナが、エミリーとシーマスが既に肉体関係を持っていることを知ってて、シーマスをエミリーの元へやったことを責めていた。具合の悪いエミリーが、シーマスに好きなようにされてしまうのではないかと、恐れているようだった。
 しかしシャムリーナにしてみれば、一度抱き合っている相手だからこそ、冷静にエミリーの面倒を見てくれるのではと思ったのだ。エミリーもシーマスと肌を重ねたことを、死ぬほど後悔しているわけでも、彼を恨んでいるわけでもないようだった。
 ただ、シーマスが、エミリーと交渉があったことを、ジェフリーのようなお喋り男にあっさり話してしまったことは、若干腹立たしかった。
 だが、こうしていても仕方ない。さっきの自分のように、エミリーを前にして、シーマスも困っているかもしれない。一刻も早く薬を届けなければ。
 しかし、「面倒を見る」というあたりを、具体的に想像すると、どうも部屋に入りづらい。もしかして、もしかすると、室内で何事か行われているかもしれない。
 シャムリーナは、廊下に誰もいないのを確かめると、そっと扉に耳を寄せた。
 中で何か聞こえないか、耳を澄ませる。僅かに物音がするような気がするが……。
「何してんだよ」
「わ」
 背後からの声に、シャムリーナは文字通り飛び上がった。振り返れば、随分前に、師匠の私室から追い出したジェフリーが立っている。
「やだ、脅かさないでよ。なんで、こんなとこにいるの?」
「そんなん、どうでもいいじゃん。オレも薬もってきてやったんだよ」
(つけてたな……)
 師匠の部屋から追い出す際、非常に気がかりそうだったジェフリーの態度を思い出す。好奇心が旺盛な彼は、立ち去らずに、シャムリーナが出てくるまでどこかで待っていて、後をつけてきたに違いない。あるいは、シャムリーナと師の話を外で立ち聞きしていたかもしれない。
 ジェフリーは、そんなことを考える彼女の前に小さな袋を出して見せた。
「何それ?」
「避妊薬。早く中に入って、エミリーを助けてやれよ。あの野獣に襲われてるかもしれないだろ」
「野獣って……。男が皆自分みたいだと思わない方がいいよ。あたしがすぐ戻るのを分かってて、シーマスがエミリーに変なことするわけないでしょ」
「オレは全然……」
 何か言いかけたジェフリーの体が横に倒れた。急に目の前の扉が押し開けられたからだ。
 その向こうからシーマスの顔が覗く。彼は扉の前で立ち尽くすシャムリーナと、開いた扉に押されて尻餅をついたジェフリーを、眉を寄せて見下ろした。
「何やってんの? 薬できたんなら、早く持ってきてよ」
「ああ、はいはい」
 シャムリーナは、こっそりシーマスに視線をやり、彼が先ほどと全く変わらない様子なのを確かめると、胸を撫で下ろして室内に入った。
 部屋の奥で、三脚の椅子を並べた上に、エミリーは横たわっていた。その体の上に、エミリーの叔父のものらしい外套がかけてある。
「エミリー」
 彼女の前に膝をついて呼びかけると、親友は目を開けた。まだ意識がはっきりしないのか、焦点が定まっていない。
 ついエミリーの服装や、その周辺に情交の痕跡を探していると、背後からシーマスの乾いた声が聞こえた。
「オレがたまたま熱さまし持ってたから、飲ませといた。少し落ち着いたみたい」
「ありがとう」
 振り返って礼を言い、早速シャムリーナはエミリーの体を起こして、調合してもらった粉薬と、水筒から注いだ水を飲ませてやった。
「色々ごめんね、シャミー」
「ううん。大事にならなくてよかった」
 師匠の薬も、そうすぐに効くわけではないだろうが、シャムリーナを見つめるエミリーの瞳には、先ほどのような不必要に熱い情熱はもう無かった。安堵する。
 ついでにシーマスにエミリーを送っていってもらおうと、シャムリーナはもう一度振り返ったが、そこにはジェフリーの姿しかなかった。
「あれ? シーマスは?」
「用事があるからっつって、すぐ出てったよ」
 ジェフリーは、顎で部屋から覗ける廊下の奥を差したが、既にシーマスの姿は見えない。
「ほら、見なさい。ちゃんと看病してくれて、やっぱ優しいじゃない。避妊薬なんかいらないよ。ジェフリーみたいに、女と見ればハメようとする人とは違うのよ」
「失礼な。それじゃ動物以下じゃんか。お前、奴にだまされてるんだよ」
 惚れっぽい性質のシャムリーナは、ジェフリーの言うことなど耳にも入らず、シーマスに対してやや心をときめかせながら、叔父が帰るまで、エミリーをここで休ませておこうとした。
 再びエミリーの体を椅子に横たえ、まだ汗ばんでいる彼女の顔を、ハンカチで拭ってやると、彼女の白い首筋に赤い痣があるのに気づいた。
(あれ、こんなのあったっけ……?)
 いや、ない。エミリーに大接近した先ほどは、確かに無かった。
(……後でエミリーに話を聞かなきゃ)
 それに念の為……。
「じゃー、オレはもう帰ろっかな」
「待って」退屈したように背を向けるジェフリーに、シャムリーナは呼びかけた。「やっぱり、さっきの薬、置いてってくれる?」



(やっぱオレには無理でした……)
 ほんとにすんません、と誰に向かってだか分からないが、シーマスは謝った。
 結局またやってしまった。
 触るだけで、入れなければいいと思ったが、入れてしまったし、動いてしまったし、中で出してしまった……。
 生憎、避妊薬の持ち合わせも無い。ジェフリーなら持ち歩いているかもしれないから、頼み込んでもらってもよかったが、シャムリーナがいたあの場所では、それも具合が悪かった。
 エミリーに子供でもできたらどうしよう。
(時間よ、戻ってくれ)
 虚しい祈りを捧げながら、シーマスは中庭を力無く歩いて出口に向かった。

 エミリーの中で果ててしまった後、彼の重みの下で痛みに喘いでいた彼女は、完全に体を弛緩させて、床に横たわってしまった。
 興奮からすぐに冷めたシーマスは、慌てて下着をはき、ズボンの前を止めた。
「エミリー、起きろ」
「うん……」
 睦み合った後そのまま、エミリーは乳房をむき出し、大きくまくったローブの下で、愛液と精液にまみれた秘所までさらけ出して、寝転がったままだ。返事はするが、動く気配が無い。
 やばい。そろそろシャムリーナが戻ってきてもおかしくない。
「エミリー。服直せ。シャミーが戻ってくるぞ」
「ん……」
 頷いたものの、やはりエミリーは腕すら動かそうとしない。シーマスとの交わりが、それほどよかったのだろうか。
 それはそれで嬉しいが、今は困る。
 シーマスはエミリーの上半身を抱え起こして、両手で抱えると、再び椅子に座らせた。小柄な体でも、腕力の無いシーマスには重労働だ。
「エミリー。頼むから起きて、服直して。乳出てるって」
「うん……」
 椅子に座らされても、エミリーはまだぼんやりしている。
 シーマスは再び彼女のローブをめくり、股間に残る二人の情交の痕跡を、仕方なく自分の袖で拭ってやった。ずり落ちていた下着を穿かせ、紐を結び直す。
 服の裾を直した後、エミリーのはだけた胸元もしまいこんで、紐を結んでやる。
(なんでオレが……)
 下着はともかく、胸はエミリーが勝手に露出させたのではないか。
 彼は椅子を三脚とも並べ、簡易の長椅子のようにした上に、エミリーを横たわらせた。
 二人の体液で汚れてしまった、服の袖を隠すために、少々捲り上げる。
 そうする内、シーマスの耳は、扉の外の微かな話し声を捉えた。誰かが来る。
(大丈夫だよな……)
 ざっと部屋を見回し、近くの外套掛けに掛かっていた大きな外套を手に取ると、横になったエミリーに被せてやった。これで、多少服に乱れがあってもごまかせるだろう。
 それを終えるとすぐに、シーマスはこちらから先に扉を開けようと踏み出した。
 その手に、寝転がったままのエミリーが触れた。僅かに指先だけ触れたに過ぎなかったが、シーマスの注意を引くには十分だった。
「ありがとう……」
 幻聴かと思うほどの小さな囁きが聞こえた。
 シーマスは屈んで、エミリーのこめかみに一瞬だけ口づけると、扉を開ける為に部屋を横切った。

 図書館前にはまだ人待ち顔の数人がたむろしていたが、そこにルークの姿は無かった。
 恐らく、調べ物が終わってセルヴィスと帰ったか、彼を待っていられずに、一人で戻ったのだろう。
 そういえば、彼はエミリーにメダルを返したいと言っていた。
 シャムリーナから助けを求められた時、すぐにエミリーの為にルークを呼んでやらなかったのは、正しかったのか、間違っていたのか、シーマスには分からなかった。
 ルークなら、あんな真似をせずに、媚薬で高ぶるエミリーをうまくなだめて、シャムリーナを待っていたかもしれない。そう思うと、エミリーに申し訳ない気もした。
 彼女は最後にありがとうと言っていた。
 薬で意識が朦朧としていた中、エミリーの望み通りに快楽まで導いてやったことに礼を言っていたのだろうか。
 どちらにしても、起こったことは戻らない。とにかく、薬屋で避妊薬を買い、夜こっそりエミリーに渡してやらなくては。
 大学の門を出たシーマスは、なじみの薬局へ向かって、昼の賑わう通りを歩き始めた。



 薬を与えられ、シャムリーナに見守られて、徐々に体の熱が冷めていくのを感じながら、エミリーはまどろみ始めていた。
 媚薬の効き目が完全に切れた後に、今日自分でしたことや、シーマスとの間に起こったことを、身悶えするほど恥じることになるのだが、今の彼女は知る由もない。
 あれほど怒鳴りつけられたシーマスが、何度もエミリーに詫び、望むままに快楽を与えてくれたことが、小気味よいほど嬉しかった。
 夢うつつの中、同じ失敗を繰り返さないように明日からも頑張ろうと、ひたすら前向きにエミリーは考えていた。
 幸福だった。
 

<地下都市:おわり>


BackNext


ネット小説ランキング>【R18部門】>王都の冒険者たち

 ↑ネット小説の人気投票です。投票していただけると励みになります。


登録させていただいているサイト様
「山間の城の物語」に投票
 ↑現在連載中の「山間の城の物語」が気に入ったら、クリックして投票してください。
「乙女の裏路地」へ 「にほんブログ村 小説ブログ」へ
fc2ブログランキングへ投票 「十八禁恋愛私花集」へ
*Edit TB(-) | CO(0)

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。
 ◆Home  ◆Novel List  ◆All  ◆通常ブログ画面  ▲PageTop 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。