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王都の冒険者たち」
第三話 女の聖地

第三話: 女の聖地 1

2010.04.05  *Edit 

machupichu.jpg

第三話 女の聖地

 考えごとをするとき、顎に指をあてるのが彼の癖だ。唇を噛みしめているのか、軽く歯ぎしりしているのか、僅かに顎が動くのが見える。
 小さく息を吐いた後、顎の下に親指の腹を当てていた手は、翻って顎の先を包む。手袋を外した指先は、爪が短く整えられていて、きれいな手だとエミリーは思った。
 もう一度、彼が溜め息を吐く。
「あのさ」
 シーマスがいきなり振り向いた。ぼんやりしていたエミリーは、思わずぴくりと体を震わせる。褐色の瞳の奥に苛立ちを見つけた気がして、彼女は肩を竦ませた。
 何か悪いことをしただろうか。それとも。
 緊張していたエミリーの鼓動が、ますます早くなる。
 シーマスと向き合うと、いつも自分が責められているような気がして、ほとんど反射的にエミリーは謝りたくなる。だがそれが、さらに彼を苛立たせていると知って、最近はこらえるようにしていた。
 目を逸らさない方がいいと思いつつ、エミリーはつい視線を床に落としてしまった。シーマスが次の言葉を発するまでの僅かな時間も、目を合わせていられない。
「ぼーっとしてないで、なんか手ぇ考えてよ。オレじゃ、もう手に負えねんだからさ」
「うん……」
 ごめんなさい、と続けそうになるのを辛うじて飲み込んだ。シーマスの言うとおり、ぼんやりしていた自分が悪いが、謝ったところで、彼の気が済むわけではない。
 それよりも、脱出の方法を考えるのが先だ。
 エミリーたちが入ってきた入り口の扉はぴたりと閉ざされて、こちらからは全く開けることができない。
 閉じ込められてしまったのだ。
 
 四方を石壁に囲まれた冷たい部屋は、大人七、八人が立っていられるほどの空間しかない。エミリーとシーマス、二人でいるには狭すぎる。
 どうしてこんなことになってしまったのだろう。何故かよく思い出せなかった。シーマスが先を歩いていて、エミリーが彼に続き、部屋に入った途端、扉が閉じてしまった。
 そうだ。そんな気がする。他の仲間たちは、扉の外の廊下に閉め出されてしまったのだ。
 しばらくシーマスは、扉を叩いて、外にいるはずの仲間たちに呼びかけたり、頑丈そうな木製の扉をこじ開けようとしていたが、びくとも動かなかった。鍵や閂すら見当たらない扉は、壁と同化してしまったかのようだ。
 彼は次に、積み上げられた石に囲まれた無機質な部屋の、壁から床まで、ひと通り調べて回った。扉を開ける装置、秘密の通路、脱出路など隠されていないか。
 しかしそれも徒労に終わった。
 天井だけは確認していないが、小柄なシーマスが手を伸ばしても届かない位置にある。石壁は滑らかで滑りやすく、身軽な彼といえども、足をかけて登るのもままならないようだった。
 魔術師であるエミリーは、念力で物体を浮かせることができるが、人間を浮かべるほどの力はまだ発揮できない。
 彼女も魔術を使って入り口の扉を調べてみたが、どういうわけか、閉ざされた扉に魔術的な力は一切働いていないようだった。機械的なからくりで、閉じてしまったらしい。
 外から仲間たちが開けてくれるかもしれないと期待した。だが二人が閉じ込められてから、かなりの時間が経つ。外でも、開ける方法が見つかっていないのだろう。
 お手上げだ。

 とはいえ、何かしら方法を見つけて脱出しなければ、やがてはこの狭い部屋で飢えと乾きにより、あまりありがたくない末路を迎えることになる。 
 シーマスが打つ手なしといった風ならば、エミリーが別の手を考えるしかない。彼女は魔術を操ることができるのだ。技術を駆使して、どうにか事態を打開しなければ。
 念力を使って、何かに閉ざされている扉を強引にこじ開ける。大地の精霊に呼びかけてみる。方法はあったのだが、何故かエミリーは集中できずにいた。部屋の隅に立ち尽くしている彼女は、扉を忌々しそうに睨みながら、何ごとか考え込んでいるシーマスに気を取られてしまう。
 冒険者としてパーティを組んでいる仲間たちの中で、エミリーは彼が最も苦手だった。
 悪い人間ではない。だが相性が悪いというのか、どうもエミリーの言動が彼を苛つかせることが多いようだ。
 女性には優しく、礼儀正しくあれという概念が薄いらしいシーマスは、動作がやや鈍く、ぼんやりしていることが多いエミリーを遠慮なく怒鳴りつけてくる。優しい両親と叔父に育てられた彼女は、それまでほとんど男性の怒声など耳にしたことがなかった。体を強張らせて萎縮するエミリーを見ると、シーマスは罪悪感を覚えるどころか、ますます不機嫌になるようだった。
 よりによってその彼と、二人きりでこんな狭い部屋に閉じ込められてしまうなんて。
 しかし今のところシーマスは、部屋の隅に佇んでいるエミリーを怒鳴りつけたりはしていない。先ほどの台詞も、彼にしては随分と柔らかい言葉だった気がする。
 ここのところ、エミリーに対するシーマスの態度がやや軟化しているのは、やはりあのことが原因だろうか。
 魔術に集中しなければと思うのに、エミリーの鼓動は緊張のために高まっていく。

 恋人でもなく、異性としての好意すら持っていないシーマスに、エミリーは既に二度抱かれている。
 もののはずみと偶然が重なった結果だが、未婚であり、恋人もいなかった彼女にとっては、不本意ながら彼が初めて知った男性であり、今のところは唯一肌を重ねた男でもある。
 それは屈辱であってもいいはずだった。何故ならエミリーは、パーティーのリーダー、ルークに心を惹かれているからだ。
 しかし、そもそものきっかけはシーマスの欲望であったにもかかわらず、エミリーは何故か彼を嫌悪することができずにいた。
「ねえ」
 再び、いつの間にか床に視線を落として、考え事に没頭していたエミリーに、呆れたような声がかかる。
 顔を上げれば、入り口近くにいたはずのシーマスが、すぐ目の前で、不機嫌に腕組みをしている。
「何ぼーっとしてんの? 状況分かってるか? こっから出られないと、オレもお前も窒息するか乾いて死ぬか、どっちかなんだけど」
 シーマスは男としては小柄だが、それでもエミリーより頭半分は高い。彼女を見下ろす眼光は鋭かった。
「あっ……、今、どうやって出るか考えてるの」
 反射的にそう言ってしまった。嘘をつくことを嫌うエミリーは、途端に後悔した。だが、本当は何を考えていたかなど、彼の前では口が裂けても言えない。 
 それを聞いたシーマスは、唇を歪めた。
「嘘つけ」
 静かだが、冷たい声が響いた。エミリーの言ったことを信じていない。怒っている。一瞬、彼女はそう考えたが、違った。彼は笑っている。

「全然違うこと考えてたんじゃないのか?」
 腕組みを解いたシーマスが一歩近づくと、エミリーの視界は彼の体に遮られて陰る。鼓動がもう一段高まった。
「そんなことない。ずっと、ここから出る方法を……」
 シーマスと目が合わせられず、目の前にある彼の胸の辺りを見つめながら、エミリーは弱々しく首を振った。
「ホントかよ」
 シーマスの右手が伸びてくる。無意識に肩を竦ませたエミリーの頬をかすめると、彼の手は淡い金色の髪の中へと潜り込んだ。
 エミリーの髪が軽く玩ばれ、シーマスの体がさらに近づく。小さなエミリーの体は、彼の影にすっぽりと包まれてしまった。
 どうしたのだろう。
 エミリーの心臓はさらに激しく動き出す。
 シーマスがエミリーを抱いたのは、本当にはずみだ。以降、彼がエミリーの体を求めたり、愛や好意を打ち明けることもなく、二人の間の情交は、無かったかのように振舞っていた。
 エミリーの方も勿論、彼を嫌悪する気持ちは沸かなかったものの、逆に好意を抱くようになったわけでもない。ただ、同じことは繰り返したくなかったので、できるだけ二人きりにならないように気をつけてはいた。
 こんな遺跡の奥で、シーマスと共に閉じ込められてしまう羽目に陥るとは、思ってもみなかった。
 まさかまた、シーマスは何かよからぬことを考えているのだろうか。
 エミリーは、彼から逃げるように、一歩体を引いた。肩が軽く壁にぶつかる。彼女が立っている場所は、既に部屋の隅であった。逃げることもできず、ただ追い詰められたことに気づかされただけだった。
 次の瞬間、エミリーを逃がすまいとするように、シーマスが彼女の小さな頭を引き寄せる。抗う間もなく、シーマスの顔が近づいた。驚きと緊張に目を見開いたままの彼女に、優しく唇が重ねられる。

 乾いた唇が、エミリーの下唇を軽く食む。シーマスの舌がそこを舐めると、唾液が擦れる微かな音が聞こえた。
 陶酔は一瞬で、エミリーはすぐに我に返った。彼の腕と胸をに手をかけて押し退けようとするが、いつの間にかエミリーの背中にもシーマスの左手が回り、逆にしっかりと抱え込まれてしまう。シーマスは屈強な方ではないが、非力なエミリーではとても力で敵わない。
 唇を割って、男の舌が忍び込んできた。生ぬるい、他人の体の一部、粘膜の感触に、エミリーは鳥肌が立つ思いだった。歯を食いしばり、それ以上シーマスの舌を受け入れまいとする。
 シーマスはやや荒い息を吐き、小柄なエミリーの身体を抱き寄せた。服越しに体温が近づく。瞼を閉ざしているシーマスを見て、ふっと体から力が抜けそうになったが、彼女もぎゅっと目を閉じ、食いしばった歯に力を込めた。
 少しの間、エミリーの歯や歯茎を撫でていた舌は、諦めたようにするりと抜けていく。唇が離れるのを感じ、薄目を開けたエミリーは、自分の唇から、唾液がか細い糸となってシーマスの舌まで伸びているのを見た。嫌悪感と共に、腰の奥が得体の知れない衝動に包まれて震えた。
「エミリー、なんかいい方法浮かんだ?」
 顔を離したものの、相変わらず彼女を抱き締めたまま、シーマスは小声で言った。
 突然口づけなどしておいて、何も考えられるわけがない。エミリーは彼の考えていることが分からず、僅かな非難をこめて、男の顔を見上げた。
 やはりシーマスは笑っている。彼女を見下ろす褐色の瞳は、心底楽しそうだった。
「考えてる……。だから、離して」
 顔を赤らめながら首を振り、エミリーはやっとシーマスから逃れようと、体をよじった。しかし彼は腕の力を緩めなかった。
「オレはもう、どうでもいいや」さらに目を細めて、シーマスは囁いた。「できることはやったし、出られないなら出られないで、しょーがねえ」
 そんな、なげやりな。
 エミリーは呆れて眉を顰めたが、彼女の表情に頓着することなく、彼は続けた。
「どうせここから出られないなら、最後に二人でいいことしようよ」
 顔にかあっと血が上る。シーマスは何を言っているのだろうか。
「しっ……シーマス……」声が裏返りながら、エミリーはどうにか答える。「そんなこと言ってる場合じゃないわ。本当にここから出られなかったら、大変よ」
「じゃ、お前が自分でいい方法考えろよ」
 呟いたシーマスの右手が、エミリーの頭の後ろで動く。軽く髪が引っ張られて、何故か体がぞくりとした。その刺激に思わず目を閉じながら、エミリーも小声で言った。
「考えるから……離して」     
「やだよ。オレはオレで好きなことするから、嫌だったら、早く手立てを考えな」
 シーマスの声の、ちりちりするような響きに目も開けられないうちに、再び唇が唇で柔らかく塞がれる。

 舌は入り込んでこず、シーマスの唇は、エミリーの唇から顎の下へと滑った。エミリーは小さく震えながら、顔を僅かに反らせる。そうすることでシーマスは動きやすくなるのだが、彼女にとっては全く無意識の仕草だった。
 彼の顔はエミリーのほっそりした首筋へと移り、その一点に強く吸いついた。
「や……!」
 ちゅうちゅうと音がするほど強く肌を吸われ、くすぐったさと淡い恐怖を感じて、エミリーは首を竦めながら声を上げた。
 首筋を吸われたまま、シーマスの左手が背中から下がり、エミリーの腰のあたりを撫で回す。何かを煽るような、淫靡な動きだった。その手から逃れようとすると、柔らかい体を彼に押しつける格好になってしまう。
 シーマスの手はさらに下へと滑り、エミリーの、丸く形のいい尻に触れた。そこを掌で優しく撫でられる。
「んっ……や……。離して」
 エミリーはもう一度、シーマスの腕に手をかけて彼を押しのけようとした。だが何故か、力が入らない。
 首筋を吸っていた唇がやっと離れ、強く吸われてじんじんと痺れるそこを、優しく舌が撫でた。ぞくぞくする快感が襲ってくる。
 ややくせのある金色の髪を玩んでいたシーマスの右手が、そこから離れたと思うと、エミリーの乳房を包むように触れた。
「シーマス……いや」
 非難するように言い、彼を引き剥がそうとしたが、相変わらず力が入らない。不埒な真似をしているのはシーマスの方なのに、何故かエミリーは彼を睨むこともできなかった。
「嫌だったら、早く脱出方法考えろよ」
 頭上から、シーマスの意地の悪い、小さな笑い声が降ってくる。彼の右手に力が込められ、エミリーの豊かな胸が柔らかく握られた。
「でも……」
 こんなことをされていたら、とても物事なんか考えられない。
 恥ずかしくて、その先の言葉が続けられない。男に乳房を緩やかに揉まれながら、エミリーがただ紅潮して俯いていると、屈んだシーマスに不意に顔を覗きこまれた。至近距離で視線が絡み、心臓がどくんと跳ねる。
 無表情に彼女を見つめていたシーマスは、僅かに微笑んだ。
「エミリー、オレのこと好き?」

 表情が硬直して、何も考えられなかった。
 はっきりしているのは、頷く理由は何もないということだ。だがだからといって、首を振ることはためらわれた。
「そんなわけないよなあ」さらに笑みを深くして、エミリーの答えよりも先にシーマスが続けた。「あんだけきついこと言われてて、オレのことが好きなわけない。だろ?」
 彼の言うとおり、エミリーにも非があるかもしれないが、仕事に出かけるたびに罵倒されていて、シーマスを好きになれという方が無理だ。だが、問われても、やはりすぐには頷けなかった。同じパーティの仲間であるし、嫌っているわけではない。
 しかしシーマスはエミリーの沈黙を勝手に肯定と理解したらしい。
「だったら、オレに触られたって、何も感じないはずだよね」
 胸がさらに強くつかまれ、シーマスの手の中で形を変える。絞られるように突き出された乳房の頂を、彼の中指が器用に撫でた。服の上から、もどかしいような疼きが伝わってくる。
「あ……」
 眉を寄せ、両脚を閉じたエミリーは、思わずかすれた声を上げた。それを耳にしたらしいシーマスが、小さく笑い声を吐く。
「じゃあ、エロい声出してないで、とっとといい手を考えな」
 乳房の重みを確かめるように、彼は右手で柔らかい肉をふるふると弾ませた。羞恥のために真っ赤になったエミリーの額に、唇が触れた。右手の下卑た動きとは正反対の、丁寧な仕草だった。

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RE:拍手お返事 >Kさん 

拍手、ありがとうございます!

のっけから、どMのエミリーさんは相変わらずですねえ。一話から変わらず…(笑)
「どうしようどうしよう」と思っているうちに、相手の意のままになってしまいます。
保護者がいる間は、自分で動かなくても誰かが何とかしてくれたんでしょうけど…。
このまま、こんなやくざな商売続けていたら、ろくなことにはならなそうですねー(他人事?)

「へたくそ」…プリシラさんなら言っちゃいそうです^^
エミリーさんが言えるようになるのは、いつの日か…。
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