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王都の冒険者たち」
第三話 女の聖地

第三話: 女の聖地 2

2010.04.08  *Edit 

 自分は頭の回転が早い方ではない。それはエミリーも自覚していた。
 特にこうして予想外の出来事に遭うと、途端に軽い恐慌状態に襲われる。今もどうしていいか分からない。シーマスに抗議するにしても、何と言おうか考えているうちに、彼の動作は増長してくるばかりだ。以前に抱かれた時もそうだった。
 右手で乳房を撫で、揉みしだいて玩んでいたシーマスは、それに飽きたらしく、服の上から乳首を軽くつまんだ。再び強烈な感覚に襲われて、エミリーは歯を食いしばって声をこらえた。鼻の奥から、微かに熱い息が漏れる。
 尻を撫でていたシーマスの左手は、その肉をつかむように何度か握った後、双丘の間にゆっくりと動いていく。
「やめて」
 勇気を振り絞って出した声は、消え入りそうなほど細かった。とても傍若無人な男の手を止める力はない。
 エミリーの乳房と尻を堪能したらしい彼の手は、一度彼女の体から離れると、華奢な少女の体を覆う、くすんだローブの胸元にかかった。そこを留めている紐を手早くほどいていく。このままでは肌まで晒されてしまう。羞恥──それは恐怖ではなかった──にかられたエミリーは、ありったけの度胸を込めて、もう一度声を上げた。
「シーマス、やめて」
 顔を上げて、目の前の男を見上げる。視線がぶつかった。怯みそうになるのを我慢して、エミリーは懸命に瞳に力を込めた。
 シーマスが目をすがめる。怯えが僅かに走り、エミリーの体は硬くなった。
「なんか、いい方法浮かんだ?」
 酷薄にも見える無表情で、淡々とシーマスは訊いた。その手は動きを止めず、エミリーの服の紐をほどき続けている。
「ないけど……」
「じゃ、ダメ。やめねーよ」
 言葉は乱暴だったが、相好を崩して彼は微笑んだ。服の襟元を一気に広げられて、エミリーの白い胸元、そして乳房がむきだしになる。 

 素肌に男の手が触れる。最初に、温かいとエミリーは思った。恥じらいが湧いてきたのはその後だ。
「うわー、吸いつくみたい。お前、体は細いのに、ホントおっぱいだけは大きいね」
 乳房を握るシーマスの言葉が、エミリーの羞恥をさらに燃え上がらせる。顔から火が出そうだと思ったが、内気な彼女は言われるままで、立ち尽くしていた。
 シーマスは体を落として膝立ちになる。その姿勢で彼は首を伸ばして、エミリーの体に実る、形のいい乳房に舌で触れた。彼女は体を引いて逃れようとしたが、シーマスはしっかりと両腕でエミリーを抱え込んでしまった。
 まるで傅くように膝をついたシーマスが、エミリーの乳房に舌を這わせている。エミリーがそれを見下ろしていると、シーマスも軽く顔を上げ、彼女を見た。彼はエミリーの瞳をしっかりと捕えたまま、固くなって尖った、淡い薔薇色の蕾へと舌を滑らせる。
「あっ……やだっ……」
 男の腕から身を引こうとしながらも、エミリーの手はシーマスの肩を掴み、服の布地を握り締めた。
 舌で乳首をなぶられる。唾液にまみれたそこは、愛撫されてますます尖っていく。さっきまで威圧的に見下ろされていたシーマスを、今度は逆に見下ろしているというのに、二人の立場は全く変わっていなかった。
「エミリー、こっち見て」
 むしろシーマスは、さらに居丈高になった気がする。
「オレのこと好きでもないなら、乳首舐められたって、何も感じないはずだろ? ちゃんと自分のカラダ見てろよ」
 低い声で言い放つと、シーマスはさらに淫靡に、舌をちろちろと動かして、エミリーの乳首の先をつついた。唾液が艶かしい音を立てる。
 それを目にして、体の芯が熱くなった。シーマスにいいようにされている。屈辱であるはずなのに、ただ意識がぼうっと蒸発するような気がして、怒りなど沸いてこない。
 思わず目を閉じると、ちゅっと音を立てて、シーマスの唇が乳首に吸いついた。
「ああっ……」
 唇から甘やかな声が漏れてしまう。閉じた脚に力がこもり、その奥がさらに熱くなった。
 乳首に唇がまとわりつき、先端を吸いだされる。時折舌先がそこを撫でた。エミリーの肉体は敏感になり、体を走る快楽は、熱さと勢いを増した。

 左の乳房に吸いついていたシーマスが、右の胸に顔を移す。
 同時に彼の右手はエミリーの背中から離れ、彼女の膝に触れた。裾の長いローブをそっと捲くり、その中へと入り込む。
「シーマス……」
 咎める声は揺れていて頼りない。まるで哀願だった。右側の乳房に舌を這わせていたシーマスが、顔を上げてこちらを見る。
「何? なんかいい方法、浮かんだ?」
 眼差しは驚くほど優しい。彼は稀に──それはほとんど、エミリーとシーマスが絡み合っている時であったが──、普段の顔とはかけ離れた、慈愛に満ちた表情を見せる。それはエミリーの胸の奥を小さく突いた。
 唇を震わせたまま、言葉も出せずにいると、シーマスの右手は、服の下で膝から腿へと彼女の肌を撫で上げる。脚の産毛を逆なでされて、エミリーは全身をおののかせた。背骨の奥がぞくぞくとする。
「ほらほら、早く考えないと、大変なことになるぞ。オレは別にいーけど」
 一転して底意地の悪い表情に戻ると、シーマスは再び舌でもって、エミリーの乳房とその中心をいたぶり始める。
「はっ……あ……」
 ざらざらした舌で舐め上げられて、右の乳首もあっという間に固くなる。その感覚は狂おしいほどで、エミリーは突き放さなければならない男の肩を、もう一度握り締めた。
 太ももを撫で上げたシーマスの手は、すべすべとした肌を滑り、内腿へと入り込もうとする。エミリーは立ったまま脚を閉じて、彼の手を拒んだ。
「エミリー、ちょっと脚開きな」
「いやっ」
 乳房を晒していたとしても、そこだけは駄目だ。エミリーは激しく首を振り、シーマスの言葉を拒絶した。涙目になるエミリーを見上げて、シーマスは笑った。
「お前、ちょっと脚に汗かいてるんじゃないの? 脚開いて風通しよくしないと蒸れるぞ」
 顔を赤らめたまま、答えることもできずに、ただエミリーはもう一度かぶりを振った。
「確かめてやろうか」
 言うが早いか、シーマスの手は、エミリーの両膝の間に強引に滑り込むと、少女の柔らかく肉づきのいい内ももの間を無理やり這い上がった。
「いや……やっ」
 彼の手を避けようとして、エミリーは腰をくねらせる。
「やらしい動きすんな」
 シーマスに冷たく笑われ、彼女はうろたえて動くこともできなくなってしまった。その間に男の手は、エミリーの脚の間に到達する。
 下着の上から、秘部にシーマスの指先が触れた。
「やめて」
 もう彼の顔を見ていられない。目を閉じ、精一杯脚を閉じようとしながら、エミリーは囁いた。
「んん~。なんか湿ってるみたいだな」
 無論、シーマスがそれに構うはずもない。荒ぶる男の吐息がエミリーの乳房を撫で、彼はますます指先を脚の間の奥へと押しつけてくる。裂け目にそって下着の上からそこを何度か撫でられた。エミリー自身、その部分がぬるぬるとぬめり、下着を滑らせているのが分かる。
「いや……」
 拒絶の声を上げながらも、少女の吐息も徐々に荒くなってきた。またもシーマスは頓着せず、指先で器用にエミリーの下着を押しのけ、隙間からさらに奥へと指を侵入させてくる。ぬかるんだ場所が、男の中指を出迎えた。
「やっぱり体の中もびっしょりだな。いやんなるのはこっちだぜ。こんな時に」
 蔑むように吐き捨てられ、エミリーの体の芯は燃え上がるような熱を持った。潤んだ瞳から、羞恥のあまりに涙が薄く流れた。
 シーマスの指先は、エミリーの体の入り口を、なぶるように何度か撫で回す。絡んだ愛液が淫らな音を立てた。
「ほら、ちゃんと脱出方法考えろ。指入れちゃうぞ」
「待って。やっ……」
 エミリーが甲高い声を上げる間もなく、長い指がエミリーの体の中へと忍び込んでくる。
「あうぅ、あ……」
 柔らかく濡れた肉の襞を押し広げて入ってきたのは、強烈な刺激、生々しい快楽だった。エミリーはたまらずに深い呻きを漏らす。
 眉を寄せて快楽に顔を歪める少女を見上げ、シーマスは指を上下に動かし始めた。
「ああっ……! はっ……いやっ」
 体の芯に熱い塊が突き刺さる。エミリーは斜め下にあるシーマスの肩を両手で抱き、首を振って切ない声を上げた。
「いやってことないだろ。こんなにスゲー音たてて」
 シーマスが指を出し入れするたびに、エミリーの秘所からはくちゃくちゃという湿った音が撒き散らされる。恥ずかしくてたまらなかった。 
「いや……違うの」
「違わねって。お前、ちょっと淫乱だよ。こんなとこでこんなに濡らすなんて、そんなに男が欲しい?」
「違う……」
 シーマスに意地の悪いことを言われ、ぎゅっと目を閉じると、再び涙が一筋、瞼の端から流れた。
「この前、薬にやられた時も、すごいスケベっぷりだったよね。意外とあれが本性なんじゃねーの?」
 ふた月近く前、別の古代遺跡から持ち帰った媚薬に、誤ってエミリーが冒されてしまった時のことだ。自分で自分を慰めていたエミリーの元に、何の因果かシーマスが現れた。普段なら考えられないことだが、彼女はシーマスの手、そして肉体を懇願し、結局二人は抱き合ってしまった。
 無論今は、正常だ。そのはずだ。
 だが体中が、正体不明の疼きに苛まれ、高揚して、何かを欲して求めている。

 それが何なのか、エミリーが認められないでいるうちに、シーマスはエミリーの膣から指を引き抜き、立ち上がった。
「座って」
 エミリーの肩の両手をかけ、部屋の隅に追い詰められて、ずっと立ったまま快楽に耐えていた少女を座らせる。抗う気力もなく、エミリーは素直に床に尻を落とした。
 続いて同じように床に屈んだシーマスは、彼女の両脚に手をかけると、大きく膝を開かせようとする。
「やめて」
 弱々しい声は、全く無視された。あまり力が入らないエミリーの脚は、男に容易に広げられてしまう。
「すげー。びしょ濡れで、下着が透けてる……」
 エミリーの秘部を覗き込んだ彼は、無邪気に響く声を上げながら、その部分に手を伸ばした。湿って疼きを帯びる部分全体を、シーマスの掌が包むように触れる。
「これ、脱いだ方がいいかな。べちょべちょになるぞ」
「だめ。やめて……」
 独り言のように呟くと、エミリーの声には耳も貸さず、シーマスは紐をほどいて、エミリーの下着を手早く取り払った。彼女の最も大切な部分が、シーマスの目の前にさらされる。
 彼は遠慮なく、しげしげとそこを見つめた。恥ずかしさにエミリーは喘ぎ、内腿が微かに震える。
「きれいで可愛いよ」
 やがてシーマスは、微笑みながらそう呟くと、彼女の裂け目の端にある、陰毛の中に隠された小さな肉の塊へと指を伸ばした。
 立ち上がることもできないエミリーは、床に両手をついて逃げようとしたが、背中が固い壁にぶつかる。
「おとなしくしてな」
 もがくエミリーを嘲笑うように言うと、男の指先は陰裂へと忍び込み、その奥にある蕾に触れた。痺れのような強い刺激が、エミリーの体の奥を突いた。
 シーマスは反対の手で陰裂を押し広げると、肉芽に優しく触れる。何度かつつかれた後、突然ぐいっと指先が押し込まれた。再び強烈な快感が流れる。
「やっ……あ!」
 喉を反らせて、エミリーは鋭く小さな叫びを上げた。
「この前、ここ触ってて、お前いっちゃったんだよね」
 言いながらシーマスは、陰核に押し当てた指を小刻みに震わせる。規則的に、快楽が押しあがり、エミリーの体の芯を責め立てた。
「ちがっ……あっ……! ああああっ!」
 彼女の声は高くなり、悲鳴じみた響きを帯びてきた。
「気持ちいい?」
 快楽の蕾を責めながら、シーマスが囁く。是とも否とも答えられず、エミリーは切ない喘ぎを上げ続けた。
「ああんっ……! うっ……はああっ……」
「なんだよ、あんまりよくない?」
 エミリーの声は愉楽に満ちていたが、はっきりと返事をしなかったためか、シーマスは冷たく呟いて、そこから指を離した。
 まって。
 そう叫んで彼の手を押し留めたいという衝動を、エミリーはどうにかこらえた。あまりにもはしたない。
「意外にワガママだな、お前。ちょっとお仕置きしてやらないとね」
 エミリーの前で膝立ちになったシーマスは、ベルトを外すと、ズボンの留め具も外し始めた。彼の脚の間は、服の下から何かに押し上げられて膨らんでいる。
 さらに顔を紅潮させるエミリーの前で、シーマスはズボンと下着をずり下げ、躊躇もなく屹立したものを晒した。赤く充血した、醜悪な肉の楔が、エミリーの目に飛び込んでくる。

 シーマスはそのまま、エミリーに覆いかぶさるようにして、華奢な彼女の体を床へと横たえた。脚の間には既に男の膝が割り込み、もう脚を閉じることもできない。
 本当に彼と異なる性の部分を繋げるのが嫌なのか。エミリーにははっきりと分からなかった。成熟した女の場所は、濡れそぼって何かを求めている。それはシーマスではないかもしれないが、だからといって彼が決して受け入れがたいということでもなかった。
「エミリー」
 彼女の名前を囁くと、シーマスは微笑んで、軽やかな口づけを落とした。その優しい一連の動作は、エミリーの最後の疑問と慎みを拭い去る。
 シーマスの体が近づく。彼の恥毛が内ももを撫で、脚の間に触れた。
(また痛いかもしれない……)
 性交を繰り返すうち、やがて痛みはなくなると、プリシラが話していたことがあった。だがエミリーが男を受け入れるのは、生まれてからまだ三度目だ。初めての破瓜の痛みを思い出し、彼女の胸に微かな躊躇が生まれた。
 しかしそれは、ごく淡く控えめなもので、劣情に紅潮するシーマスを説き伏せるような理性を、エミリーの頭に呼び起こす力などなかった。自分の体に興奮するシーマスを見て、エミリーもまた鼓動が高鳴る思いだったのだ。
「エミリー、大丈夫。痛くないよ」
 まるで胸中を読んだように、シーマスがエミリーを見つめて囁く。最も共感を覚えない、心のすれ違いの多い彼からそんなことを言われるのは、非常に不思議な気分だった。
 愛液にまみれた彼女の脚の間を探っていたシーマスの性器は、やがてゆっくりと、濡れた音と共にエミリーの体の中へと入り込んできた。

 熱い。膣にねじこまれた彼自身は、炎のように熱かった。
「んうううっ……!」
 しかしエミリーの喉からほとばしる呻きは、苦痛ではなく快楽に彩られている。視界が色を失うような、そんな恐ろしいほどの悦楽だった。こんな気持ちいい思いをしたのは初めてだ。
「ねー。気持ちいいだろ?」
 閉じた瞼の向こうから、シーマスの低い声が聞こえる。慎みも忘れて、エミリーは何度も頷いてしまった。
「ほらな。やっぱりお前、淫乱なんだよ」
「ち……ちが……」
 体の奥から燃え盛るように広がる快楽のために、エミリーは満足に喋ることもできない。苦しげに喘いでいると、シーマスの手が汗ばんだ額を撫でた。
「でも、可愛いけどね」
 エミリーはうっすらと目を開けた。彼女を貫いている男が、穏やかに微笑んでいる。愛しい生き物でも愛でるような、温かい視線だった。
 次の瞬間、シーマスは僅かに眉を寄せ、体を動かし始めた。
「あっ……はっ……ああっ」
 一体となって、エミリーの肢体も揺さぶられる。重たげな乳房が、ゆらゆらと揺れた。
「あ……きもちいー。エミリーの中」
 シーマスの顔が快楽に歪んだ。彼の吐いた息が、エミリーの髪を僅かになびかせる。なんて淫らなことを言われているのだろうと思ったが、彼女の体の芯は尚も熱を帯びた。
「シーマス」
 エミリーも、自分が喜ばせている男が愛しく思えて、甘い声を上げて彼の背中を抱き締める。体の奥深くに、シーマスの男性の部分が何度も激しくぶつかる。それはエミリーの存在そのものを責めたてて、揺さぶっているようだった。
 二人はしばらく、喘ぎながらひとつになって、体を揺すり、共に愉悦の階段を上りつめていった。汗が吹き出し、肌が湿る。少女の下肢に、男の腰が打ちつけられ、皮膚が弾ける音、愛液が擦れる音が、狭い小部屋に満ちた。
 どのくらい快楽を貪っていただろう。やがてシーマスの動きは早く、激しくなる。
「く……あ……」
 彼は苦しげにも聞こえる息を吐くと、乱暴なほどの動きで、エミリーの内部を突いた。それは少しも痛くはなく、ただ恍惚とした悦びだけを、体の芯に響かせる。
「あああっ……! シーマス」
 耐え切れず、理性もぐにゃぐにゃになったエミリーが、嬌声と共に男の名を呼ぶと、彼も切なげに答えた。
「エミリー……ごめん。いつも、こんなことして」
 彼女は首を振った。望んでいる行為ではないが、しかし彼にここでやめて欲しいとも思っていない。
「エミリー」
 聞いたこともない、情熱的な響きがエミリーの耳を打ち、少女の小柄な体は、シーマスに力いっぱい抱き締められた。
「ごめん……でも、好きなんだ」
 彼女は耳を疑った。その瞬間、彼が大きく息を吐き、エミリーの体の中に、熱いものが放たれる。何ごとか分からないことを叫ぶエミリーの意識も、快楽によじれて、白んでいった。   



 どのくらい意識を失っていたのだろう。瞼の裏が明るくなった。光が満ちているのが分かる。
「エミリー」
 名前を呼ばれる。目を開けるのすら億劫だった。
「エミリー、起きて」
 甲高い女の声。
(──えっ!?)
 エミリーはぎょっとして目を開き、上体を起こした。
 そこは薄暗い、石壁に囲まれた小部屋などではない。朝の日差しが燦々と降り注ぐ、疎らな林の中だった。木々の土が放つ、緑の香りがたちまち鼻腔に入り込んでくる。
 そしてエミリーの目の前で微笑んでいるのは、シーマスではない。魔術師ギルドの友人である、シャムリーナだ。
 目が合うと、シャムリーナはもう一度温かく笑って、口を開いた。
「すごくよく寝てたね。急ぐ旅じゃないけど、そろそろ出発しないとね」
 彼女は立ち上がり、向こう側へと歩いていく。その先には、昨夜の焚き火の跡があり、側にプリシラが座り込んで、パンを切り分けているのが見えた。
 そうだ。昨夜、この街道沿いの野営地で眠ったのだ。勿論、彼女は寝る前と同じく、きちんと服を着ていた。
 夢だった。
 そう気づいた途端、エミリーは恥ずかしさから足を小さくばたつかせた。できれば木の幹に顔を打ちつけたい。さぞかし目が覚めるだろう。なんていう夢を見たのだ。
 よりにもよって、シーマスとどこかの小部屋に閉じ込められ、そこで脱出するどころか、彼と肌を重ねてしまうなんて。
(そんな関係じゃないのに)
 そう。エミリーは盗賊のシーマスと、二度、実際に肌を合わせている。だが、様々な事情が重なった結果のことである。他のパーティーの仲間たちは知らない。二人は距離を置きながら、そのことには触れないようにしていたし、無論のこと、その後は肌を触れ合わせていない。           
 なのに、あんな夢を見るなんて、囁きや吐息、汗の匂いまで感じたかのような、生々しい夢だった。
 自己嫌悪に陥ると共に、シーマスに申し訳ない気持ちが湧いてくる。勝手に彼をあんな夢に出してしまうとは、いくらなんでも失礼だ。
 歩き去るシャムリーナの後ろ姿を見ながら、エミリーは彼女たちに背を向けて、こっそりローブの下に手を差し入れて、脚の間に触れてみた。下着が愛液でしっとりと湿っている。
 夢の中でシーマスに言われた、いくつもの台詞を思い出し、エミリーは顔を赤らめた。


 やや気分を落ち着けたエミリーが、焚き火の跡へと歩いてくると、プリシラが笑顔で迎えた。
「おはよ、エミリー。よく眠れた?」
「うん。寝坊しちゃって、ごめんなさい」
 太陽はかなり高い位置まで上っている。朝の爽やかさは洗われ始めて、空気は初夏の昼間の暑さを含んでいた。
 しかしプリシラは上機嫌で首を振る。
「いーの、いーの。あたしもシャミーも今起きたとこだし、急いでるわけじゃないからね。のんびり出たって、今日の夕方には着くでしょ。気候もいいし、たまには朝寝を楽しむのもいいわねえ」
 夏用の薄手の外套の上に、プリシラが切り分けたチーズとパンを並べ、シャムリーナが拾ってきたという、小さな木の実をいくつか置く。それで三人の娘の朝食だった。
「あー、それに何よりさー」
 水筒に入れてきた果実酒を含んだプリシラは、大きく腕を広げて体を反らせた。
「汗臭くて、こうるさい男どもがいないと、のびのびできるなあ~」
 エミリーからしてみれば、男性陣が一緒の時でも、プリシラはのびのびしているように見えるが、やはりどこかで気を使っているのだろう。彼女がこれほど寛いで上機嫌な様子は、久しぶりに見たかもしれない。
 エミリーも同感であった。ルークたちは大切な仲間であり、信頼できる男たちであるが、やはり異性には違いない。着替えやその他を始めとして、色々と気は使う。
 通常であれば、男女混合のパーティーでは、女性の方が神経質になりがちだ。しかしエミリーたちの場合は、男性陣の方が物事に細かい。例えばこんな朝寝坊をすれば、リーダーのルークは渋い顔をするだろうし、エミリーはまたシーマスに嫌味のひとつも言われることだろう。
 もっとも、気楽である一番の理由は、今回の旅が仕事ではないからだ。
「シャミーもさ、普段男ばっかの中に女一人で大変じゃない?」
 もう一口、酒を啜りながらプリシラが訊くと、エミリーの友人であり、同業の冒険者でもあるシャムリーナは、笑顔で頷いた。
「うん、そう。生理の時とか、めちゃくちゃ気を使うよ。エミリーたちは女二人でいいなー」
 可憐な見た目によらず、王都の下町育ちのシャムリーナは、大らかな性格だ。同じく大ざっぱなプリシラと、割合早くに打ち解け始めている。
「ああ、やっぱそーだよね。あたしもエミリーが入るまでは、女一人だったからさ。お腹痛い時とか、しんどいよね。男たちに生理だってばれたくないんだけど、オマエらもっと気ぃ使えよとか思う時もあってー」
「そうそう」
 二人の女同士の会話を、無口なエミリーはぼんやり聞いていた。だがともすると、思考は今朝方の夢へと戻っていきそうになる。彼女は努めて、プリシラたちの話に耳を傾けようとした。
 木の葉の隙間から降り注ぐ初夏の日差しの中、女たちの甲高い話し声と、生命を謳歌する鳥の囀りが響き渡っていた。

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