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王都の冒険者たち」
第三話 女の聖地

第三話: 女の聖地 15

2010.05.24  *Edit 

 *****


 歌姫一行は数曲、見事な演奏を披露した。
 お忍びで町に出た王子と町娘の恋、互いの婚約者を取り違えてしまった双子の姉妹の恋の喜劇、若い妻の不貞を疑う貴族の夫婦の絆の話、聖者に祝福された婚礼の話。
 エミリーにはそのいずれも、人間の肉声ではなく、魔術によって紡がれる幻聴だということが分かっていたが、これほどの歌を再現できる兄弟子の技術に改めて感心した。歌や伝承の知識は勿論、それを不自然でなく再現できる想像力が不可欠になる。
 村人たちは切ない場面では歌姫の声に聞き入り、陽気な場面では、調べに合わせて踊ったり、俄か芸人たちの余興を大いに楽しんでいるようだった。
「ご領主様、今宵はとりあえずはこのあたりで。我らが歌姫の声もそろそろかすれてくる頃と存じますので、お耳汚しにならぬ前に、休憩をいただきたく」
 演奏が一段落し、村人たちの拍手が落ち着いたところで、長身の美女に扮したセルヴィスがイーノックに丁寧に礼を取った。
 先ほどからミクエルではなくセルヴィスが喋っているのは、ミクエルの声と幻の歌声が違うことが分かってはいけないからだろう。
「そうだな。いや、素晴らしい歌声であったぞ。名は何と言う」
 上機嫌のイーノックは、笑顔でミクエルに尋ねた。ミクエルは黙って顔を伏せ、跪く。彼を庇うように、やはり跪いたセルヴィスが慌てた様子もなく口を挟んだ。
「ご領主様、故ありまして、この娘は名を名乗ることも、ご領主様のようなやんごとなき方に、直接お話をすることもできません。娘が人前で許されているのは、歌を歌うことだけなのです。ご無礼はいかようにもお詫び申し上げます。何卒、ご容赦を」
 意味ありげなことを並べているが、いずれも出まかせだろうとエミリーには思えた。セルヴィス本人は勿論、ミクエルやシーマスも神妙な表情を保ったが、彼女は内心はらはらと聞いていた。
 しかしイーノックは大らかに笑った。
「よくは分からないが、事情があるようだな。なに、構わん。素晴らしい歌声を聞かせてくれただけで十分だ。お前たちも民と共に食事と酒、そして夜を楽しむがいい。礼は明日の朝取らせよう」
「ありがたき幸せに存じます」  
 夜を楽しむ、というイーノックの言葉に、セルヴィスは思わせぶりに頷いた。イーノックも女の艶かしい視線に気づいて僅かに微笑んだが、エミリーには無論、その意味は解らなかった。

 エミリーは不自然でないように心もち俯きながら、セルヴィスたちの動きや視線を見逃すまいと目を凝らした。しかし慎重な彼らは、領主の目の前で、エミリーと目を合わせて何かを訴えるようなことはしなかった。楽器や衣装をルークの持っている大きな背嚢にしまうと、四人は食事と酒が並ぶテーブルへと動いた。料理を取る前に、そこで村人たちに囲まれて再び喝采を受けている。
 彼らの誰もが、一度も視線すら投げてくれなかったことで、エミリーは見捨てられたような気持ちになった。ルークたちがエミリーたちを救出に来てくれたことは間違いないと思うが、彼らがどう動いて村を脱出するつもりなのかも、このままでは分からない。
「エミリー、どうだった? 流浪の芸人といえども、素晴らしい演奏だっただろう」
 困惑するエミリーに、イーノックが明るい声を掛ける。思考を乱されながらも、エミリーは頷いた。
「ええ、本当に……」
「君も聞き入っていたみたいだな」
 次のイーノックの台詞に心臓が跳ね上がる思いだったが、エミリーは懸命に無表情を保った。今のは、取り立てて怪しまれているわけではない。何気ない一言なのだと言い聞かせていると、果たしてイーノックは相好を崩して続けた。
「歌は好きか? 君が望むなら、しばらく楽師を雇ってもいいな」
「いいえ、そんな、結構です」
 エミリーが首を横に振ると、イーノックはそうかと頷いただけで、側にある盆から炙った肉の切り身を取り上げると、上品な仕草で食べ始めた。
(どうしたらいいの)
 あまり黙り込んでいて、イーノックに気遣われすぎては具合が悪い。エミリーは彼と同じように、盆から果物を取り上げると、仕方なしにつまんだ。
 ルークたちは、相変わらず村人と共にテーブルで酒を飲んでは談笑している。彼らはこれからどうするつもりなのだろう。ここでエミリーが待っていても、彼らが助けに入ってくれる機会があるとは思えない。
(──違う)
 皮を剥かれた、よく熟れた桃を口に含みながら、冷たい鉄のような考えが突然割り込むのを感じた。
 待っていてはだめだ。彼らだって万能の救世主ではない。村から脱出したいなら、エミリーが自分で考えて、動かなくてはいけない。領主の一番近くにいるのはエミリーなのだ。
 先ほどだって、セルヴィスたちが話しかけてくれたり、目を合わせてくれるのを待っていたが、それでは駄目だったのだ。領主の花嫁であるエミリーの方から、歌を披露した芸人に話しかけるなら、不自然ではなく会話ができただろう。
 それに今、イーノックが楽師を雇おうかと言い出した時に、ぜひ彼らをと頼めば、もう一度彼らと話すきっかけもできたはずだ。
 どうして自分はこう、頭の回転が鈍いのだろう。気づくのが遅すぎる。
 今からでも、怪しまれないように、彼らと話す口実は無いだろうか。
 それとも先に、プリシラとシャムリーナの居場所を聞き出しておくべきだろうか。
 桃の甘い蜜が口の中に広がるのを感じる間もなく、エミリーは考えを巡らせた。

 良い方法も浮かばないまま、桃を食べ終えて、盆の上に水を一口飲んだエミリーは、硝子製の杯を盆に戻す手が急にだるくなったのを感じた。
 違和感を覚えたと思った瞬間、くらりと頭が傾ぐ。
(あれ──?)
 身を起こそうとすると、今度は後方に体が大きく揺れる。背中にうまく力が入らない。
「エミリー様?」
「エミリー!?」
 侍女とイーノックの慌てふためいたような声が聞こえた。微かな吐き気を覚え、エミリーの上体が倒れる前に、横から伸びた手に抱きとめられたのを感じたが、そこまでだった。色を失った彼女の視界は、やがて闇へと沈んだ。



 シーマスたちが演奏を終えた頃が宴の酣だったらしい。彼はやがて周囲で酒を飲んでいる村人の数が徐々に減っていくのに気づいた。
 農村の民は夜が早い。宴を切り上げて明日の早起きに備えているのだろうと最初は思ったが、どうやら事情は少々異なるらしい。シーマスがさりげなく周囲を観察していると、中庭の方々で、男女が秘密めいた囁きを交わしているのが目に止まった。そのうち幾組かは、連れ立って門から出ていったり、城館の裏手へと姿を消したりしている。
 シーマスはさりげなく中庭の隅にある厠へと歩き出した。陽気に談笑する村人たちの中には、男女二人で体を寄せ合って何か呟いている者が目につく。
 祭りとはそんなものだ。若い男女が羽目を外せる出会いの場でもあるが、若者に限らず、壮年から中年の男女の組み合わせもあれば、中にはとても夫婦に見えない若い男と年のいった女という二人もいた。
 妙だと思いながら、シーマスは素知らぬ振りで木戸を開けて厠に入った。
『あああっ……あはんっ』
 折角なので用を足そうとすると、隣の壁から甲高い切なげな声が聞こえてきた。ぎょっとした彼は、驚きながらも、そっと壁に耳を寄せた。
『いいわっ、もっと……もっとちょうだい』
 間違いない。女の嬌声である。
(もしかして──ヤってる?)
 外からは厠の隣は風呂場に見えたが、どうやら内部で男女が睦みあっているらしい。用を足すのも忘れて、シーマスが耳を済ませていると、確かにそれらしき女の甘い声、男の荒い息遣い、木の床が微かに軋む音などが聞こえてくる。
 どうやらこの村では、祭りでは想像以上に羽目を外すしきたりらしい。恐らく消えた男女も、館の外なり、建物の裏手なりで、同じようなことに及んでいるのだろう。
 可愛い娘がいれば自分も、などと一瞬だけシーマスは考えたが、すぐに本来の目的を思い出した。
 丁度いい。酔っ払っているだけでなく、男女が情事にしゃれこむなら、村人の隙も多い。
 隣から聞こえてくる女の声に惹かれるものはあったが、シーマスは極力頭から締め出して、用を足しながら考えた。
(しかし、驚いたな……)
 村に入るなり、領主の結婚だなどと村人が浮かれていたのは分かったが、まさかその花嫁がエミリーだとは。どうやら領主が大学に対し、エミリーたちの訪問を隠したのも、このあたりの事情と絡んでいるのだろう。
 詳細は分からないが、エミリーが望んだ結婚でないことには間違いないはずだ。中庭に急ごしらえで設けられた主賓席に座ったエミリーは、幸せな新婦の表情とはほど遠かった。
 エミリーが何を考えてるかなど、元々シーマスにはよく分からないが、たとえこの領主との結婚を望んでいたとしても、シーマスたちに何も告げないまま嫁入りするほど、礼儀知らずではないはずだ。プリシラとシャムリーナの姿も見えないし、何かあると彼らは怪しんでいた。
 領主の側にいるエミリーとは接触しづらいだろう。酔いつぶれ、情事にふける村人たちの隙をついて、どうにかプリシラたちの居所を探りたい。用済みとして殺されている可能性も無くはないが、それならそれで、せめて遺体だけでも見つけて、シャムリーナの方はジェフリーたちに報告しなければならない。
(あいつ、気づいたかな)
 用足しを終えて、服装を整えながら、シーマスは溜め息をつきたくなった。随分と沈み込んだ表情で席についていたエミリーだが、旅芸人一座がシーマスたちだということに気づいただろうか。
 普通なら気づくだろう。女装している連中は置いておいても、ルークとシーマスは服装を変えただけだ。ルークは日焼け肌を装うために、肌に褐色の染料を塗っているが、シーマスはほとんど姿を変えていない。
 だがエミリーは、シーマスたちが演奏を終えても、彼らに話しかけてくることもなかった。もしかして、普段からぼんやりしているあの鈍感な娘は、シーマスたちに気づかなかったのだろうか。
 あるいは何か薬でも盛られて、意識が朦朧としているのだろうか。
 とにかく動き時だ。
 厠を出たシーマスは、さらに人数を減らした村人たちの間を縫って、ルークたちがいるテーブルへと戻った。

 同じ場所に帰ってきた彼を、朗らかな態度を装ったルークたちの緊張した視線が迎えた。
 問うまでもない。
 壇上の貴賓席に座っていた領主夫妻の姿が無いのだ。
 周囲に村人の姿が無いのを確認した上で、なるべく柔らかな表情を保ったまま、シーマスは仲間たちに問いかけた。
「エミリーたちは?」
「俺たちもずっと見ていたわけじゃないけど、少し前に侍女と従僕が彼女を抱えるようにして屋敷に戻っていったらしい。領主もついていった」
 答えたルークは、シーマスが戻るのを待っていたようだ。すぐに言い足した。
「動こう」

 演奏を終えた直後のシーマスたちは、ほろ酔いの村人たちに囲まれて、口々に褒め称えられ、旅の話などをせがまれたが、盛り上がりが一段落すると、彼らは彼らで固まり始め、内輪の話を始めてしまった。一過性の好奇心だけでは会話は長続きしない。
 従って、今はシーマスたちに興味を向けてくる者も少なかった。彼らは目立たないようにそっと中庭を横切って、離れへと歩き出した。 
「おおい、ねえさんたち」
 しかし中庭の端で、三人組の中年の男たちに呼び止められた。無視するわけにもいかないので、彼らは仕方なく振り返る。
 シーマスは声を掛けてきた男に見覚えがある気がした。武装を解いて、農夫のような服装をしているが、昼間彼らを村に案内してくれた門番の男だ。
「なあ、もう帰っちまうのか? まだ夜は長いぜ。もうちょっと飲んでいかないか」
 近くで焚いてある火に、酔っ払って赤くなった男の顔が浮かび上がった。鼻の下がよく伸びていると、シーマスは自分のことは棚に上げて考えた。
 声を掛けた男の視線は、まっすぐに女に化けたセルヴィスに注がれている。
「まあ、昼間の門番さんじゃないの」
 セルヴィスもやはり男の顔に覚えがあったらしい。くだけた口調でしなを作ってみせた。その側で、シーマスは鳥肌が立たないように必死に唇を噛む。
「おう、よく覚えててくれたな」
「当たり前よ。男前さんは忘れないタチなの」
 鱒によく似た男に向かって、セルヴィスは恥ずかしげもなく言うと、男の腕を取った。
 既に打ち合わせ済みのことである。旅芸人といえば、売春を副業にしている者も多いので、村の男たちや召使い、あるいは領主自身が、女装したセルヴィスやミクエルに興味を示し、一晩買おうとするかもしれない。魔術で表層の精神を操れるセルヴィスが、油断した男の隙をついて術を使えば、村で起こっていることや女たちの居場所を探れるいい機会だ。
 シーマスの提案であったが、俄然セルヴィスは乗り気で、昼間から門番に愛想を振り撒いていた。やりすぎだと思えるくらいであった。彼が何を考えているのか、ますます分からなくなったが、セルヴィスを理解することは、人間として何か大切なものを捨ててしまうことと同義である気がして、シーマスはあまり深く考えなかった。  
「ねえ、じゃあ、コッチに来て。離れには私たちしかいないのよ」
 シーマスにとっては不気味な作り声で、セルヴィスは門番の男に囁くと、その腕を取って離れへと導いた。
「お、あいつうまくやったな」
「お嬢ちゃんもどうだい? オジサンたちと飲まないか?」
 残った二人の男が、締まらない顔でミクエルに声を掛けたが、ミクエルは恥ずかしそうに俯いて首を振った。
「すみません。この子はまだ小娘なんで、勘弁してください」
 男たちの視線を遮るように、ルークがミクエルの前に踏み出す。柔和そうな態度ながら、大柄な男に見下ろされ、彼らは曖昧な笑いを浮かべると、「それじゃ仕方ねえ」などと鼻白んで顔をそむけた。
 腕を組んだセルヴィスと門番の男は、シーマスたちの先を歩いて、離れの建物へと入っていった。
 城館とは中庭を挟んで反対方向にある離れの建物は、普段は使われていないらしい。遠方からの客人の滞在の際などに使うと、執事から話を聞いた。今夜使っているのも、シーマスたちだけだ。
 ひと気の無い離れに近づくと、すぐ近くの倉庫の辺りから、女の甘い声と悲鳴のような息遣い、上擦った男の声が耳に入ってきた。
『ひぁぁぁんっ……ああんっ……!』
『ああ、いいか? いいだろ?』
 ルークが目を見張って、シーマスを振り返る。彼は唇に人差し指を当て、声を出すなと訴えた。どうやら倉庫の暗がりでも、男女が交わっているらしい。奔放で結構な話だ。
 戸惑ったような顔のまま、ルークは再び歩き出す。
 彼らは早足で離れの建物の中へと入った。先に入っていったセルヴィスの様子は、一応心配だ。
 足音を忍ばせて、数室ある離れの部屋をひとつひとつ覗いていくと、そのうちの一部屋でセルヴィスが座り込んでいるのを見つけた。彼の正面には、呆けたような顔をした先ほどの門番が座っている。
 シーマスたちに気づくと、振り返ったセルヴィスは微笑んだ。
「うまくいきましたよ。幻惑の術をかけているので、入ってきても大丈夫です」
「一人でどうやって術をかけたんだよ?」
 魔術は咄嗟に使えるというものでもないらしい。習熟度や技量にもよるが、触媒を使い、呪文と身振りが必要な場合がほとんどで、術が発動するまでに時間がかかる。
「恥ずかしいから自分で脱ぐといって、後ろを向かせておいたんですよ。その間に術を使いました」
 策略が予想以上にうまく運び、セルヴィスは上機嫌だったが、光景を想像すると、少々不気味だった。シーマスは哀れで純情な門番に少しばかり同情した。
 しかしセルヴィスはすぐに表情を引き締めて続けた。
「この男から話を聞いた限りでは、どうも厄介な事情ですよ」 

 幸い離れには、誰の姿も無かった。荷物もあてがわれた部屋にそのまま置いてある。どうやら領主も村人も、彼らを旅芸人だと信じているらしい。
「それにしてもなんなんだ、アレは」
 自分たちの部屋に入るなり、ルークは苦々しく吐き捨てた。離れに来る前に聞こえた男女の嬌声のことを差しているのだろう。
「祭りだからだろ。あちこちでやってるみたいだ」
「破廉恥だな」
 シーマスが肩を竦めて、こともなげに言うと、修道士であるミクエルも、目を伏せながら呟いた。真面目な少年には、先ほどの生々しい喘ぎ声は少々刺激が強かったのかもしれない。
「私たちには都合がいいじゃないですか。動きやすいですよ」
 華奢な造りのサンダルを脱ぎ、背嚢から取り出した長靴に履き替えながら、セルヴィスはうっすらと笑みを浮かべた。
 セルヴィスが門番から聞き出した話によれば、神殿に祀られている古の大地母神が、村を訪れただけのエミリーを、領主の花嫁にするべしなどという神託を下したという。長い間跡継ぎがおらず、不安に沈んでいた村人は、その知らせを聞いて歓喜した。すぐさまこうして、結婚の宴が行われる運びになったという。
 エミリーに同行していたプリシラとシャムリーナの行方は、兵士も知らないようだった。だが領主は彼女たちもエミリーを助けるために村に留まらせるだろうと告げたらしい。 
 シーマスたちは楽器などの小道具や、移動の邪魔になる荷物を置き、財布と武器、最低限の旅の道具だけを身に付けた。エミリーたちを救出したら、その足でそのまま村を出ることになるだろう。できる限り身軽な方がいい。
 無論、旅芸人の扮装は解かなかった。城館や近辺を探し回る間、村人や召使いたちに見咎められたら、芸人の姿でないと怪しまれる。裾の長い服を着ているミクエルとセルヴィスは動きにくそうだが、仕方がない。
「この銀の鈴、高かったんですけどね……」
 セルヴィスが無念そうに、美しい音を奏でる鈴を部屋の床に置く。王都に持ち帰って売り払えば、それなりの金にはなるが、館の内部を探るのに、鈴を身に付けたままでは、居場所を宣伝して歩いているようなものだ。
 離れは探しつくした。プリシラたちの姿はない。まずは館を探るのだ。
 村中がこんな状態なのだ。領主の手元にいるはずのエミリーは勿論、プリシラとシャムリーナの身も心配だ。村の男たちの慰み物にでもなっていないといいが。
 支度を終えた彼らは、再び足音を忍ばせて離れから外へと出た。

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RE: 拍手お返事 >Kさん 

拍手、ありがとうございます!

やーっと動き出しました(笑)
セルヴィスはノリノリで、女装を心から楽しんでいるようですねー。クセになったらイヤです><
しかしオッサン、全く気づかないですねえ…。

プリシラたちのその後についてはぼちぼちと…^^;
健全ファンタジーなら
「うへへへ」
「あ~れ~」
と悲鳴をあげたところで助けが入りますが、こういう話なんで…。

やっと三話も終盤です。最後までお付き合いいただけると嬉しいです~!
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