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王都の冒険者たち」
第三話 女の聖地

第三話: 女の聖地 16

2010.05.27  *Edit 

 プリシラが閉じ込められた部屋は、到着した当初に与えられたのと同じ造りの客室だった。全く同じ部屋かどうかは分からないが、いずれにしても彼女が村に持ってきた荷物は無かった。長剣も無い。
 天井近くの位置にある明かりとりの小窓からは、外で焚いているらしい篝火の欠片が僅かに忍び込んでくる。ついでに炙った肉と酒の匂いも。
(おなかすいた……)
 粗末な服を纏わされ、後ろ手に縛られたまま、プリシラは溜め息をついた。エミリーとは宴会が始まる前に短い会話を交わすことができたが、その後はここに放り込まれて、外から鍵を掛けられてしまった。シャムリーナの居所も知れない。
 部屋の外に見張りなどがいる気配は無かったので、何とか脱出しようと、彼女は手首を縛める縄を解こうとしたり、扉を開けようと体当たりを繰り返したりしたが、いずれも徒労に終わった。
 体当たりで痛めた肩と疲労した体を休ませているところに、食べ物の匂いが漂ってくるのはうら悲しい。気力が萎える気すらする。
 だが村が宴会に沸いているであろう今夜は、脱出のまたとない機会である。分厚い扉は簡単に破れそうにもないが、何とか方法を考えて外に出たい。
 何か使える物が無いかと、プリシラは室内を見回した。麻の敷布が敷かれた簡素な寝台と、背もたれの無い丸椅子、家具や調度と言えばそれだけだ。
 扉を開けるか、縄を解く役に立たないかと、プリシラが知恵を絞っていると、扉の外で足音がした。彼女は直ちに思考を断ち切り、奥の壁に素早く後退して身構えた。
  
 がちりと鍵が回る音がして、扉が開く。炎の灯りが差し込み、慣れない眩しさにプリシラは目をすがめた。
「おお~、いたな」
 聞き覚えのある声である。何度か目をしばたかせて前方に目を凝らしたプリシラは、燭台を持って室内に入ってきたのが、彼女を風呂場に連れて行った兵士の一人であることに気づいた。若く、そして下品な方の男である。
 外に出してくれるのだ。そう期待するほどプリシラも楽観主義ではない。仮にその通りだったとしても、男の下卑た表情を見れば、ただでというわけにはいかないだろう。彼女は引き続き硬い表情を保った。
「なあ、ねえちゃん。今日は領主様の結婚で、村中もサカリがついてるんだ。村の娘も可愛いけど、俺ぁ、あんたとヤリたいんだよな」
 領主の結婚の祝いで、村中が乱交に沸くなどという祭りは聞いたことがない。しかし今はそれを訝っている場合ではない。縛られて身動きが取れないままでは、簡単にこの馬鹿面の兵士に玩ばれてしまうだろう。
 プリシラは唇を引き結んで男を眺めた。鎧は着ていないし、槍や長剣も下げていない。腰に短剣だけを身に付けている。夕方、風呂場で全裸になったプリシラに興味を引かれてから、男は彼女への警戒を薄らせつつあるようだ。
 危機は好機でもある。
 プリシラは不安げな表情を装って、さらに後退した。
「いやよ……」
 首を振りながら弱々しく呟くと、嗜虐心を刺激されたように、若い男は顔を歪めて近寄ってきた。 

 兵士は燭台を丸椅子の上に置くと、壁際まで追い詰められたプリシラの肩を掴んだ。酒臭い息がかかる。少々酔っ払っているようだ。
「お願い……せめて解いて」
 俯きがちにプリシラは哀願したが、兵士は薄笑いを浮かべただけだった。
「あとだ、あと」
 彼は腰から短剣を抜いた。何をするつもりかと、プリシラは本気で身を固くしたが、男は彼女が着ている質素な服の襟元に刃を当てると、そのまま縦に切り裂いた。
 筋肉が薄くついた、日焼けしていない肌が隙間から覗く。兵士はそのまま一気に、膝丈の服の裾まで裂き、下着も履いていないプリシラの素肌を剥き出しにした。
「やめて、お願い」
 恥じらいを見せながら、プリシラは左右に激しく身をよじった。懸命の抵抗だと思わせなければならない。
「へ……あんた、よく見ると美人だなあ。女戦士っても、縛られてすっぱだかにされちまえば、何もできないだろ?」
「いやぁ……」
 プリシラは目を瞑り、か細い声を上げた。それに触発されたように、男はプリシラの体を立ったまま壁に強く押しつける。背中で縛られた手が壁と体に挟まれて痛んだ。
 兵士は物も言わず、彼女の小振りな胸の頂に吸いついた。握っていた短剣を放り出し、右手でいきなり脚の間の恥毛を撫でた。無骨でささくれた指が遠慮なく秘部に触れる。
 プリシラは腹に力を込めると、右膝を鋭く跳ね上げ、兵士の股間を強打した。
「うおっ」
 呻きを上げて体を丸める兵士の目の辺りを狙って、頭突きを食らわす。がつんと強烈な衝撃がプリシラをも襲い、一瞬視界が眩んだ。
 だが無論、衝撃から立ち直るのは仕掛けたプリシラの方が早い。彼女は肩を振って、男の手をもぎ離すと、素早く男の横手に踏み出した。
 右足を振り上げ、ようやくこちらを振り向こうとした兵士の首筋を、渾身の力を込めて蹴りつける。喉をしたたかに打たれた男は、妙な声を上げて床にくず折れた。蹴りを放った後、両手を縛られてバランスが取れなかったプリシラも、不覚にも床に転倒する。
 背中を丸めて床に転がったが、すぐに彼女は上体を起こした。壁際に座り込んだ兵士は、蹴られた箇所を押さえながらくぐもった呻き声を上げているが、立ち上がれずにいるらしい。うまくいけば、このまま昏倒するだろう。
「すっぱだか恥ずかしがってて、傭兵が務まるか、アホ」
 プリシラは、助平心を出したばかりに遅れを取った兵士に吐き捨てながら立ち上がった。
 そのまま彼女は兵士が一度閉じた扉に向かうと、背中を向けて、縛られたままの両手でどうにか取っ手を捻ろうとする。
 早くしないと、蹴りを食らって朦朧としている兵士が起き出すかもしれない。内心焦りながら、プリシラは何度か不器用に体と手首を捻った。
 取っ手が傾ぎ、手ごたえがあった。
 彼女は扉に背を預けるようにして開きながら、部屋の外に出た。
 しかし間が悪かった。丁度廊下の向こうから、灯りを持った兵士が歩いてくるところだったのだ。
「なんだ、お前」
 彼はすぐに形相を変えて、こちらに走り寄ってくる。廊下側に開いた扉が邪魔で、廊下の反対側に逃げ出せなかったプリシラは、咄嗟に部屋へと戻った。当然のように兵士も彼女を追って、部屋の中へと踏み込んでくる。
 まずい。
 追ってきた兵士の姿を見て、内心プリシラは舌打ちした。この兵士は帯剣している。両手を縛められたままで勝つのは難しいだろう。
 新たな中年の兵士は、壁際で倒れて呻いている若い兵士に視線を落とした。
「おい、女、そいつに何をした」
「何もしてないわ。二人で楽しんでいただけよ。そしたら、この人、急に苦しみだしたから、助けを呼びにいこうとしたの」
 咄嗟に思いついた言い訳だったが、兵士に通用するだろうか。若い兵ほど馬鹿には見えない。
 案の定、壮年の兵士はプリシラを見据えたまま、油断なく腰から剣を引き抜いた。

 兵士の動きに目を凝らしていた彼女は、その体ごし、開かれた扉の外に人影を見た。
 新手かと焦りが増したが、足を止めて部屋を覗き込んだ二人連れは目を見張った。
「プリシラ!」
 よく馴染んだ、しかしこの場にいるはずもないシーマスの声が耳に届き、プリシラは絶望的な緊張から僅かに解放された。
 彼女と向かい合っていた兵士が慌てて背後を振り向く。彼は丸腰で両手を縛られているプリシラに背を向け、二人の闖入者に無言で剣を振りかぶった。シーマスが一歩廊下へと下がると共に、一緒にいた女が、長い服の裾を捲り上げ、その下の腿に仕込んだ小振りの剣を素早く抜く。彼女は突然振り下ろされた兵士の剣を難なく受け止めた。
「なんだ、お前らは!」
 罵声を上げる兵士と女は数度切り結んだ。その間に、廊下に下がっていたシーマスが細身の短剣を投げ放つ。
 短い悲鳴を上げた兵士が両膝をついた。くず折れる男の額に、投擲用の短剣が見事に突き刺さっていた。

 信じられない。
 プリシラは突然現れた、王都にいるはずのシーマスを呆然と見た。シャムリーナやエミリーが助けに現れることはあっても、彼がこの村に現れるとは、想像すらしていなかった。
「大丈夫か、プリシラ」
 部屋の中に踏み込んできたシーマスに低い声を掛けられ、プリシラはようやく我に返った。慌てて彼らに背を向け、服を切り裂かれて剥き出しになった体を背ける。
「大丈夫よ。それより早く、これほどいて」
「ああ、はい」
 礼も言わず背中を突き出すプリシラに溜め息をつきながらも、シーマスは彼女の手首を縛っている縄を解いてくれた。
「ありがと」
 プリシラは短く言い、壁際で昏倒してしまった若い兵士の服を剥ぎ取った。こんな男の服など着たくも無いが、裸よりはましだ。
「シャミーとエミリーは?」
 プリシラが服を纏う間、大袈裟に彼女から顔を逸らしながらシーマスは尋ねた。
「わかんない。エミリーは多分、領主と一緒だと思うけど……。それにしてもあんた、よくこの村に入れたわね」
 手早く服を着てベルトを締め、倒れた兵士が持っていた長剣と短剣を履いた彼女は、シーマスと一緒にいる女を見下ろした。兵士と互角に剣戟を演じた腕からして、王都からシーマスが雇ってきた女傭兵かと思った。
 が。
 一瞬後に、どこか見覚えのある女の正体に気づき、プリシラは驚倒した。
「やーだ、ミクエルじゃないの!」
「そうだよ……」
 目を伏せた彼は、情けない顔で頷いた。心なしか可憐に見える。化粧をしているのだろうが、そこらの町娘より遥かに美しい。
「見事に化けたわねえ~。オカマの振りして、村まで来てくれたの?」    
「しょーがねーだろ。男だけじゃ村に入れねんだからさ」
 憮然と答えるシーマスに苦笑を返しながらも、プリシラの胸には久しぶりに温かい純粋な感謝と感激が宿った。まさか彼らが、戻らないプリシラたちを案じて、王都から村まで探しに来てくれるとは、考えてもいなかったのだ。
 逆の立場だったら、プリシラは同じことをしただろうか。確信は無かった。隊商の護衛をしてきた傭兵の彼女にとって、仲間同士の付き合いは一過性のものだった。旅に出たまま仲間が帰らなければ、どこかで力尽きたか、あるいは彼らの都合で戻らないのだと割り切って、探しに出ることは無い気がする。
「ありがとう」
 無頼の冒険者の横の絆を初めて肌で感じて、プリシラは彼女にしては珍しく、心から礼を告げた。同時にもしこの先、逆のことがあれば、彼らと同じ行動を取ろうと決意した。
「礼は戻ってからでいいよ。ルークたちも手分けして館を探してるけど、早く二人を見つけて、今晩の内にとんずらしようぜ」
 照れたようにシーマスは顔を伏せ、すぐに踵を返した。ミクエルもそれに続く。
 彼らの背中を追いながら、ふとプリシラは、傭兵たちの間に広まっていた噂を思い出した。ルークとシーマスが以前に組んでいたパーティーでの出来事だ。
 いかにも薄情に見えるシーマスが意外と仲間思いなのも、ルークがエミリーやミクエルに目をかけて気を遣っているのも、当時の出来事が影響しているのだろうかなどと考えたが、すぐに彼女は頭を切り替えた。夏の夜は短い。時間が無いのだ。



 館の内部は意外なことに、さほどひと気は無かった。セルヴィスとルークは、一階にある食堂や厨房を覗いたが、宴会のために食事の用意をした後が残るだけだった。厨房の隅で男女の喘ぎが聞こえたが、覗いてみれば見知らぬ中年の男女が絡み合っているだけだった。女中頭と執事だろうかなどと考えつつ、彼らは邪魔をせずにその場を後にした。
 一階を探し尽くした後、セルヴィスたちは三階へと上がった。既に二階部分はシーマスとミクエルが調査を始めているからだ。
 階段を上りきらない内に、彼らは階上から微かに複数の男たちの声が流れてくるのを聞き取った。より慎重に足音を殺しながら、体を屈めて階段を上りきる。明かりを灯すわけにいかないので、壁の上部に疎らに穿たれた通風と採光のための小窓からの、ごく僅かな星明りが頼りだった。
 廊下の一番手前の部屋から明かりが漏れていた。よりはっきりと男たちの声が聞こえてくる。酒を飲んで談笑でもしているのだろうか。たてつけが悪いのか、扉は微かに外側に開かれている。
 壁伝いに静かに扉ににじり寄ったセルヴィスは、ルークに無言で合図を送ると、用心しながら扉の隙間から内部を覗き込んだ。
 彼は眉を顰めた。
 内部は侍女か召使い用の部屋だろうか、寝台と棚、書き物机が並ぶ小部屋だ。四、五人の男たちは全員入り口に背を向け、寝台に半裸で転がされている少女の体を眺め回し、玩んでいる。エミリーかと思ったが、長い黒髪はシャムリーナだ。薬でも盛られているのか、それとも脅されて諦めているのか、彼女の悲鳴やすすり泣きは聞こえてこない。
「可愛いおっぱいだな。やわらけ~」
「早く、次脱がせろ」
「若い娘はやっぱりいいなあ。肌もすべすべだ」
 哀れな中年男たち。ああはなりたくないなどと思いつつ、セルヴィスは隣にいるルークを振り向いた。
「まずいですよ」
 深刻な顔で彼が囁くと、ルークも体を乗り出して室内を覗き込む。状況を悟った彼の形相が一変した。 
「ルーク、待って」
 無言で剣の柄に手をかけるルークを、セルヴィスは慌てて押し留めた。
「何する気ですか」
「放っておけないだろう」
 正義感の強いルークは、女や子供が乱暴されている場面を見過ごせないようだ。怒りに顔を歪めながらも、まだ冷静さを保っているらしい彼は、小声で囁き返した。
「いくら油断しているからといって、五人相手にあなた一人で斬りかかるのは無茶ですよ。私が何とかしますから、あなたは別の場所を探してください。エミリーやプリシラがいるかもしれません」
 ルークの顔に一瞬逡巡が浮かんだが、彼はすぐに魔術師を信じて頷いた。シャムリーナがこんな目に合っているということは、プリシラやエミリーの身の上にも同様の出来事が降りかかっているかもしれないのだ。早く動かなければ、手遅れになる。

 足音を忍ばせたルークが廊下の奥へと消えるのを見届ける前に、セルヴィスは腰に下げた粉薬の入った袋を取り出すと、自分を囲むように辺りに振り撒き、それを鼻から軽く吸い込んだ。
 目を閉じ、意識を集中して、室内の人間の気配を探る。
 五人の男たちの意識が、精神の世界で徐々に形を取っていく。五感とは切り離された精神の世界であるが、何故か彼らの意識は粘ついていて、脂っぽいような気がした。その側にあるシャムリーナの意識は、靄のように形がはっきりせず、精神を澄ませてもその感情を捉えることもできない。やはり薬か何かで意識が混濁しているのだろう。
 瞑想に入ったまま、彼は低い声で呪文を唱える。それに応じて彼自身の意識は、精神の世界で形を変えて広がり始めた。       
 広げた意識の手で、五人の男たちの意識を捕らえて包み込む。これだけ人数が多いと、眠らせるのは無理だ。セルヴィスは精神の手に力を込め、男たちの意識を外界から遮断した。
 集中を解いて目を開ける。
 立ちくらみを起こさないように、慎重に立ち上がったセルヴィスは、室内を覗き込んだ。シャムリーナに群がっていた男たちは、一様にぼんやりとして動きを止めている。意識はあるが、セルヴィスの術により、肉体の五感と繋がらなくなっているのだ。しばらくは動けまい。
 セルヴィスは男たちをよけて、シャムリーナに近づいた。寝台に横たわった少女は、術にかかった男たちと同様に、虚ろな目で宙を見たままだ。セルヴィスが顔を覗きこんでも反応が無い。
 胸元を開かれ、服の裾を捲り上げられて、乳房と下着を履いただけの下肢を露わにされた娘の服を直してやりながら、セルヴィスは彼女に呼びかけた。
「シャムリーナ」
 呆けていた彼女の黒い瞳がやっと動き、瞬きした後にセルヴィスの姿を映した。だがシャムリーナは気だるげな表情のまま、目を閉じようとする。
 よほど強力な薬を使われたか、あるいは魔術でもかけられたのだろうか。不吉な予感に捕らわれたセルヴィスは、もう一度薬を使って深い瞑想に入り、シャムリーナの意識に手を伸ばした。
 彼女の精神を包む、繭のような靄を丁寧に取り払ってやると、やがてシャムリーナの意識は形を取り戻し、魔術師の精神らしく、輝きを放ち始めた。
「シャムリーナ、私が分かりますか」
「セルヴィス様……」
 集中を解いたセルヴィスが声をかけると、シャムリーナの掠れた答えが返ってきた。
「良かった、シャミー。何とか無事だったんですね」
 彼が後輩にあたる少女の腕を取って微笑みかけると、信じられないようなものでも見た表情だった彼女は、安堵に可憐な顔を歪めた。
 どうやらすんでのところで彼女の貞操は守られたようである。こんな飢えた中年男たちに輪姦されたのでは、生涯消えない傷を負うだろう。 
「助けに来てくださったのですか?」
「ええ。ジェフリーたちがあなたの危機に気づいたんですよ。よくメダルを彼らに預けておきましたね」
 感情が溢れたのか、気の強いシャムリーナも瞳を潤ませて、指先で目元を拭った。だがすぐに彼女は顔を上げる。
「セルヴィス様、エミリーは見つけました? 彼女は今、領主と結婚させられそうになっていて……」
「事情は大まかに分かりました。今、村は宴会の最中ですので、エミリーとプリシラを早く見つけて、村を出ましょう」
「気をつけてください。領主は魔術師かもしれないのです。私も妙な暗示を掛けられて……」
 言い募っていたシャムリーナは、そこで口を噤んだ。彼女は薬ではなく、領主に何か小細工をされて、半ば朦朧としていたのだ。セルヴィスは得心した。
 そのあとで彼女がどんな目にあったかは分からないが、今この場にいる男たちにされたことも含めて、暗示にかかっていた間の記憶が、娘に残っていないといいのだがと彼は思った。
 無論、それを確かめるようなことはせず、セルヴィスは気をつけます、とだけ言って彼女を促し、ルークの後を追う為に廊下の暗がりへ踏み出した。

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