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山間の城の物語」
第一章 山間の城

4.ねぐら (2)

2010.07.11  *Edit 

 先に視線を外したのはグレンだった。
「あ、そ。じゃあもういいわ」
 心中までは読めないが、諦めたように肩を竦め、彼は寝台へ戻っていった。
「ちょっと! 用が済んだならほどいてよ!」
 安堵のせいもあり、レジーナは噛み付く勢いでグレンを怒鳴りつける。振り向いた男は薄笑いを浮かべた。
「やだね。大した話も聞けなかったし。俺は寝るから、一晩中そうやって悶えてろ」
「誰が悶えてんのよ……。冗談じゃないわよ! 肩がおかしくなるっつーの」
「夜中に大声出すなよ。……そうだなー、大股開いて『グレン様、抱いてください』って言うならほどいてやっても……イテ」
 我慢できずに放った低い蹴りがグレンの膝裏に当たった。勢いで踵の高い靴がすっぽ抜けて反対側の壁にぶつかる。
 わざとらしく蹴られた部分を押さえながら、彼は転げ落ちたレジーナの靴を拾いに行った。
「いって~。凶暴だな。降伏した方の女城主が、敵の大将にケリくれるなんて、聞いたこともねえよ」
 彼女の華奢な靴を手にグレンが近づいてくる。肩がぴくりと震えた。駆け抜けた戦慄が甘い。
 勅書の話に呑まれ、自分がしくじったことをレジーナは知った。

 目の前に立ったグレンは、いきなり手を伸ばして、真正面から彼女の胸のふくらみを押さえた。力を込められ、鈍い痛みを覚える。思わず顔をしかめた。
「コラ、『ごめんなさい』は?」
 強めにレジーナの乳房を握りながら、グレンは続けた。まるで子供の躾をするようなふざけた言葉に、苛立ちがこみ上げる。
「ふざけないでよ」
「ふざけてんのはお前だろ」グレンの眉が吊り上った。「甘い顔してりゃ調子に乗りやがって」
 心臓が跳ねた。
 不覚にも怯んでしまう。脅しに関しては、相手の方が圧倒的に上手だ。
 グレンは腰を屈め、脱ぎ捨てていた彼の長靴から、薄刃の小刀を抜いた。靴の内側に仕込んでいたらしい。
 縛められた状態で刃物を向けられ、さすがにレジーナは言葉を失った。彼が今さら自分を傷つける理由は思い当たらないが、抵抗できない状態で刃物を出されるのは、理屈抜きに恐ろしい。
 黙りこんだレジーナを前に、グレンは幾分表情を和らげた。
「あんまりびびってないんだな」
「……びびってるわよ。できれば早く引っ込めて」
 精一杯気の張った声を搾り出す。グレンはそれに取り合わず、彼女の服の胸元を引っ張り、小刀を押し当てた。
「動くとケガするぞ」
 レジーナが彼が何の為にそんなものを持ち出したのか、思い当たると同時に、布地が裂ける音が響いた。

 小刀で引き裂かれた衣装の間から素肌が覗く。
「やめてよ……なにするの」
 男が自分の体に傷をつけるつもりがないと分かっても、恐怖に体が慄いた。抗議の声も今までにないくらい、押し殺した小さな声になる。
「高飛車な副伯夫人に、もうちょっとおとなしくなってもらおうと思ってね」グレンはうっすらと笑った。「どっちみち、この服はもう破けてるんだろ」
 そう言うと、レジーナが武器を取り出す為に入れておいた切れ込みを探し出し、両手で乱暴に引き裂いた。ドレスは裾まで裂けて、すんなりした脚が剥き出しになる。
「いやっ、やだ」
 少女のような悲鳴をあげたレジーナは、自分を襲っている恐怖が何なのか分からず混乱した。命の危険は無いと分かっているのに、頭は半分恐慌している。
 夫は常に紳士的で優しかった。冒険者時代に迫ってきた男たち──当時のグレンを含め──は、パーティ仲間が追い払うか、手練れの女戦士である彼女自身で撃退できた。レジーナは自分が到底敵わない男に、女として襲いかかられたことがなかった。それは彼女が初めて覚える、異性──男に対する本能に近い恐怖だった。強大な敵や怪物に対して覚える恐怖とは、根底から違うものだ。その底に澱んでいる、高揚感に似た感情が、心臓を弾ませる。
 レジーナの声に却って興奮したように、グレンは彼女の服を裂いて、スカートの襞の部分を所々むしりとった。
「いっぺんこのドレスをびりびりに破ってやりたかったんだよね。公都の貴族女にはとてもできないからな」
 適当にレジーナの衣装を裂いた後、グレンは小刀を放り出した。それを見て、レジーナの胸に小さな安堵が下りる。後には先ほどの恐怖の残り香が、濃密な芳香を放っていた。

 清楚に仕立てた淡い緑のドレスは、見るも無残な布の残骸となって、レジーナの体を覆っている。片方の乳房は半分剥き出しになり、乳首まで覗かせていた。腹にできた裂け目からは、形のいい臍とその下の蜜色の陰毛が僅かに見える。スカート部分の襞もかなり取っ払ってしまったので、ストッキングだけを穿いた、白い両脚が露出していた。
 グレンは、レジーナが猛然と食って掛かってくるだろうと想像していたが、意外とすぐにおとなしくなった。元は歴戦の女戦士でも、刃物を向けられるとそれなりに恐ろしいらしい。たまには素直なレジーナもいい。
 彼は布の裂け目から手を差し入れ、レジーナの乳房に触れた。今度は優しく撫で回す。彼女は縛られたまま身じろぎしたが、制止の声も無い。無言で身をよじりながら恥ずかしさに耐えている様子が、グレンの嗜虐心をかき立てた。
 服の裂け目を手で乱暴に引く。広がった場所から、柔らかく弾む乳房を掴み出すと、レジーナの目に入るように、指で乳首を挟んで弄んだ。
「う……」
 俯いた彼女が苦痛とも快感とも取れる微かな声を漏らした。
 庭で抱き合った時は、この女は手で口を覆って必死に声をこらえていたが、両手を後ろで縛られていてはそれもできないだろう。肩甲骨が寄り、胸を突き出す姿勢が、乳房の豊かさを強調している。
 顔や手は高地の日差しで多少日焼けしていたが、普段服に包み隠されている部分は、滑らかで白い。彼が今指先で弄っている乳首も可憐な薄紅色だ。摘んだままそこを引っ張ると、ふくよかな乳房が形を変える。痛みの為か、レジーナは声を堪えて首をすくめた。
 もう片方の手で、ほとんど垂れ下がるだけの布切れとなったスカートをどけて、太ももを撫で上げてやると、そこから僅かに震えが伝わってきた。絹のストッキングの手触りは心地よいが、女の素肌の感触を味わうには邪魔だ。
 これも引き裂いてやろうと思ったが、そこで妙な貧乏性が顔を出した。この小さな山城では、絹のストッキングは貴重ではないのだろうか。彼との会談の為に一張羅の絹の靴下を穿いてきたのかもしれないのに、破いてしまっては可哀相だ。
 屈辱と苦痛に顔を歪めるレジーナにそっと口づけ、グレンは丁寧に靴下富めからストッキングを外してやった。
「破かないように脱がしてやるから、脚上げな」
 無論そう言ったところでレジーナが素直に従うはずはない。グレンは返事も待たず、勝手に彼女の片脚を抱えるように持ち上げ、傷をつけないようにストッキングを脱がせた。
 もう片方も同じように、靴下留めから絹の靴下を外す。急に穏やかになったグレンにレジーナは戸惑っているようだった。
 脱がせてやろうと脚を持ち上げると、股間からねち、という粘液質の淫靡な音がする。思わず屈みこんで覗き込んだ。瞬間、レジーナは脚を下ろそうとするが、力を込めてそうさせなかった。脱ぎかけのストッキングを纏った脚の付け根の奥に、茂った金色の恥毛とそこに包まれた陰裂が見え隠れする。刺激的なんてものではない。淫猥だ。半分ほど固くなっていた彼の下半身に血が流れ込み、膨らんでいく。
 愛液でぬめっているだろうそこに、今すぐ指を突っ込んでやりたい衝動をこらえ、再び丁寧にストッキングを脱がせ、ついでに片方だけ履いたままの靴も取り払った。

 靴とストッキングを脱いだ素足の甲に、膝をついたグレンが口づけした。甘い痺れがそこから全身に広がる。こんな体の末端でも、唇の感触が分かる。熱っぽい頭でそう考えた。鍛え上げて、全身がいかついグレンでも、唇はレジーナの足の甲より柔らかい。
 縋るように男の手がレジーナの脚を撫で上げ、唇も足から脛へ、膝へと、時折蠢きながら這い上がる。くすぐったさに似た感覚。歯を食いしばって声を堪えるが、体が震えてしまう。
 つい今まで乱暴に服を引き裂いて、乳房を弄んでいた男が、今は忠実な彼女の賛美者のように、礼儀正しいほどに丁寧に脚を愛撫している。自分の感情が彼の言動ひとつひとつに乱されていると知っていても、制御できなかった。
 膝に唇を滑らされ、甘噛みされると肩が震えるほどの快感が走る。
 グレンは膝より上に口を滑らせることなく立ち上がった。レジーナを見下ろしながら、手を伸ばして彼女の髪を撫でる。その慈しみに満ちた手つき。燭台の炎に揺らぐ、自分を見つめる瞳の優しさ。先ほどとは別人のようだ。意識がよろめきそうだった。

「じゃあね、おやすみ」
 子供にそうするように、彼女の頭を撫でると、グレンは体を離して踵を返した。
 肩透かしどころではない、愕然とした気分を味わった。
「待ってよ」呼びかける自分の声が艶かしい。「ほどいて」
 先刻、グレンを思わず蹴った時のような力はもうどこにも無い。
 グレンは振り返らず、再び寝台に腰を掛けて、寝支度を始めた。上半身の肌着を脱ぐ。
「ねえ……、話は終わったんだから、ほどいてよ」
「やだっつったろ。お前、ろくなこと話さなかったじゃない」
 グレンは彼女の方を見ようともしない。
「だって、知らないんだもの。しょうがないでしょ。朝まで縛り付けられる理由にはならないわよ」
 肩を背中に回されたまま過ごすのは、酷だ。寝ることもできない。レジーナは必死に言い募った。それに、潤んできた体の奥が熱を持っていてつらい。グレンが寝ている側で、このまま過ごすのは、どんな気持ちだろう。一度抱かれたせいか、夫ではない男、自分を愛してすらいない男と肌を重ねることに対する罪悪感が、音も立てずに崩れ去っていく。今自分の体に澱み始めている愛欲が、それを呑み込んでしまう。
「お前も可愛げないなあ」
 ズボンに手をかけたグレンがやっと振り返った。思わずその股間に目を向ける。そこは服の下から布地を押し上げて張っていた。
 可愛げないのはどっちだろう。自分だって興奮しているくせに。
 顔を赤らめながら、ほんの少し優越感を感じた。そんなレジーナの心中には全く気づかず、グレンは言葉を続ける。
「ほどいてほしいなら、お願いしてみろよ」
「さっきから何度もお願いしてるじゃない」
「ありゃ命令だろ。ほどいてよ、とか怒鳴っちゃって」
「怒鳴ってなんかない……」
 レジーナの言葉にはもう力が無かった。張りのある低い声から力が抜けると、空気を震わせるような艶っぽい声になる。
「たまには可愛く、ちゃんとお願いしてみろ」
 グレンは寝台に腰掛けたまま、体だけレジーナの方に向けた。彼がいる場所はやや暗いが、彼女が縛られている場所は、すぐそばの暖炉に燭台があって、明るい。窓から吹き込む微風で、時折炎が揺らいだ。照らされるレジーナは、ぼろぼろに破かれた服から素肌を覗かせている。左の乳房が破れ目から引っ張り出されているのが哀れで悩ましい。しっかりと閉じられた脚の間は、直接には見えないが、その奥は先ほど音を立てていたように、愛液に濡れているはずだ。
 グレンもまた、相手が興奮していることを知って、小さな優越感に浸っていた。

 レジーナは自尊心が高い。相手にへつらうことが苦手だ。夫を含め、それを知る彼女の周囲の人間は、彼女の自尊心を刺激することを好まなかった。それがレジーナの怒りをかき立てると知っているからだ。すすんで彼女の怒りを買いたいという人間はいなかった。彼女の怒りなどものともしない、目の前の男を除いて。
「お願い、ほどいて」
 屈辱をこらえて、押し殺した声で言うと、グレンは大袈裟に腕を広げた。
「はあ~? 何それ。人に物を頼む態度じゃないな。口のきき方もなってない」
 その薄笑いを浮かべた顔を殴りつけてやりたいと思うのに、体を動かせないというもどかしい思いが怒りとは違う場所に火をつける。顔が熱い。
「ほどいてください……」小さな声は恥辱に震え、掻き消えそうになる。「お願いします」
 まともにグレンの顔を見られず、俯いて目を閉じて、溢れる感情に耐えた。心の底から恥ずかしく、悔しかった。でも湧き上がってくるのは怒りではない、別のものだ。
 寝台から下りたグレンが、こちらに歩いてくる気配がする。自分はそれを待ち望んでいる。
 顎に手をかけられ、顔を上げさせられた。くちづけを落とされる。互いの乾いた唇が触れ合った。すぐに男の舌が忍び込んできて、乾いた唇が潤う。ほんのひと時だけ。唾液はすぐにまた乾いてしまう。

「よくできたな」
 唇を離して呟くグレンの声が、耳から入り込んで頭の中まで撫でる。依然顔が触れ合うほどの近さのままだ。ただ近いというだけで、何故こんなに心が騒いで乱れるのだろう。
 彼女の頬に手を触れ、指先で耳を玩びながら、グレンは続けた。
「もう一度お願いしてみろ」
 命令されている。そう知った事実からにじむ、甘く切ないほどの香りにレジーナは陶然とした。頬を押さえられ、顔を逸らせない。羞恥に目がくらみそうだった。グレンはその弱々しい視線をただ受け止めている。
「お願いします。どうか、ほどいてください……」
「そーか、そーか」
 彼は心底嬉しそうに笑うと、再びレジーナの頭を撫でた。
「そんなにお願いするなら、ほどいてやってもいいけど、その前に俺のお願いも聞いてよ」
 レジーナが頷く前に、男は彼女の両肩を掴んで押し下げた。
「膝をつけ」
 言われるまでもなく、肩を押してくるグレンの力に屈して、両手を縛られたまま膝を折ったレジーナは、彼の意図を悟って身を竦ませた。
 いつの間に脱いだのか、グレンは全裸だった。膝立ちになった彼女の目の前に、彼の屹立した男性自身が突き出される。月だけが照らす薄闇の中でなく、三本の蝋燭から生まれる炎の明かりで、はっきりと見える。重さに逆らって立ち上がるそれは、怒張して赤黒く染まっている。先端だけはつるりと薄桃色をしていて、そこから僅かに透明な液を滲ませる姿は、凶暴で醜悪な、何か別の生き物のようだ。
 男性器をこんな間近に、明るい場所で見るのは初めてだった。
 修道院で子供時代を過ごしたレジーナは、貞操観念は人一倍強かったが、どうすれば男性が喜ぶかということは、その後に身を置いた冒険者世界で、嫌でも周りの人間から耳にした。酒が入った席で年頃の男女が集まれば、この手の話題は出てくるものだ。
 だが、結婚する前もその後も、彼女はそれに口で触れたことはない。一度だけ、同衾した時に夫の手に導かれ、暗闇の中、手で触れたことがあるが、陰毛の間から固く伸びた男根の手触りに、興奮どころか羞恥と嫌悪すら覚えた。それが自分の中に入り込み、快楽を与えてくれると知っても、直接触れて慈しむことができるかどうかは別の問題だった。言葉に出さなくても、彼女が嫌がっているのが分かったのか、夫はそれ以降、無理にレジーナに性器を触らせたことはない。
 愛を交歓する際に、このように部屋中に明かりを灯したこともない。秘め事は多くの場合、暗闇で行われた。時たま窓を小さく開け放って、月光を招き入れたり、夫がレジーナの許しを得て、小さなランプに明かりを灯し、寝台から離れた場所に置いて、柔らかい薄闇の中で愛し合うことはあった。しかしレジーナは自分の体をこんなに明るい場所で夫に晒したことはなく、夫の裸体を隅々まで見たこともなかった。

 異物に対する恐怖と混乱、そして波が返すように戻ってきた夫への罪悪感で、彼女は硬直する。グレンは右手を彼女の頭に置いて言った。
「早くしろ。ほどいてほしいんだろが。俺だってさっきしてやっただろ」
 中庭でのことを言っているのだ。立ったままの自分の秘部を屈みこんだグレンの舌で愛撫され、喜悦に乱れたことを思い出して、レジーナは震えた。下腹部が熱をもってくる。今は丁度逆の姿勢だ。
「できない……」
 目を閉じて首を振るレジーナに、グレンは眉を寄せた。金髪の小さな頭に置いた手に力を込める。
「あ? 何今さらかまととぶってるんだ。ダンナにしてるのと同じようにすりゃいいんだよ」
「したことないもん」
 レジーナの幼女のような口調に、グレンの苛立ちがふっと解けた。一瞬、ふざけているのかと思ったが、突き出された陰茎から顔を逸らして目をつむっている様子は、普段の彼女に似合わず、しおらしい。これが演技なら大した女だし、そうでないなら意外と可愛いところがある。
「嘘つけよ。仮にも人妻だろ、お前」
 さらに半歩踏み出して、男性器をレジーナの顔に突き出す。先端が頬に触れると、彼女はびくりと揺れ、顔を引いた。その柔らかい皮膚の感触、小作りの美しい顔に、自分の男根が触れたという実感が、さらに血をたぎらせた。お上品で小さな口に男根をねじ込み、精液を顔にぶちまけてやりたい。
 膝を折ってへたり込み、外套掛けに背中を押し付けるくらい身を引きながら、レジーナは目を閉じたまままた首を振った。
「だって、させられたことないもん……やだ」
 やだで済むか。
 沸きあがる嗜虐心に思わず口元が緩んだ。レジーナはこれ以上後退できない。まるで暴れ回っていた肉食獣が逃げ場を失い、腹を見せて降参したようだ。
「ほんとかよ? 随分つまんない夫婦生活だったんだな。そんなだから、すぐ飽きちゃうんだよ」
「余計なお世話よ……」
 目を開いて言い返そうとしたレジーナは、陰茎が目の前に突きつけらているのに気づき、また視線をさまよわせた。この反応は、本当に男のものをちゃんと見たことが無いのかもしれない。男根に飛びついてくるような女には、もう興ざめだが、ここまで嫌がられると、少し寂しい気もする。
「まあ、どっちでもいいよ。この際お前のダンナは関係無い。やり方知らないなら言う通りにしろ」
 グレンは性器の先端を再び彼女の顔に軽く押し付けた。漏れ始めている分泌液が頬に付着する。首をさらに捻って逃れようとするレジーナの顔を片手で押さえた。亀頭が紅く乾いた唇に触れる。そのまま口を開かせて、無理に押し込んでもいいが、この様子では、下手をすれば噛み付かれそうだ。
「簡単だよ」努めて優しい声を出しながら、レジーナの髪を撫でてやる。「歯を立てないようにして、優しく舐めて、咥えればいい。うまくできたら、ちゃんとほどいてやるから」
 穏やかな声に、多少感情が落ち着いたのか、レジーナはうっすらと目を開いた。そのくもった緑の瞳。嫌悪と羞恥の奥に、悦楽を探る好奇心が揺れている。

 時折グレンが囁く穏やかな声には、決して逆らえない。耳朶の奥に甘く忍び込んで、意識を溶かされてしまうようだ。
 レジーナは意を決しておずおずと、昂る男性器の先端に唇で触れた。尿の匂いに混じって、生臭い男の匂いが鼻の奥をついた。湧き上がってくる嫌悪感をこらえると、涙がにじんだ。わずかに舌を出して、先端を舐める。小さな穴から溢れていた透明な液が唇の中に滑り込んだ。不思議と微かに甘い。
 頭に置かれたグレンの手に力がこもった。
「いいよ。もっと舐めて」
 言葉の隙間の息遣いが荒い。自分に触れされることではなく、自分が触れることによって、この男も快感を得ているのだ。高まってくる優越感は、闘争心にも似ていた。レジーナはさらに舌を伸ばし、二股に分かれた亀頭部分を舐める。唾液が溢れ、乾いていた唇が潤う。同時に男の性器を濡らす。唇に触れたその感触は、鍛えた肉体の中でそこだけが頼りなく柔らかいことを伝えてくる。頭上から喘ぎのような吐息が降って来た。
 好奇心に勝てずに、舌を這わせたまま首をあげる。グレンも自分を見下ろしていた。瞳からも口元からも力が抜けかけた、無防備な表情だった。昂りながら弛緩している、恐らく男女が睦み合う時にしか見ることのできない表情。自分も男に愛撫され、こんな顔をしていたのだろうか。暗闇でしか抱き合ったことのない夫も。
 レジーナはさらに舌を伸ばし、唇で先端を咥えながら、舌で包み込むように舐めた。グレンの表情がさらに歪む。すぐ目の前にある陰茎はぴくぴくと震え、さらに膨らんだ気がした。
「もっと……奥まで咥えろ」
 頭を押さえられたまま、それがさらに口に押し付けられる。命令口調で強要されているのに、不快ではない。どころか自分の体の芯も膨れたような熱を持ち、内部から股間へと溢れ出してくる。駄々をこねる子供に屈するような、満足を伴った心地よい敗北感が、甘やかに意識を痺れさせる。
 レジーナは緊張から舌を慄かせながら、口を大きく開けて、そそり立つ異形の性器を包んだ。生臭い匂いが、口の中から鼻にまで突き抜けた。不快のあまりえずきそうになる。嫌悪も羞恥も消えていないが、それを赦して受け入れる自分。どうしようもなく淫蕩だ。今まで知らなかった。
 触れられ、撫でられ、体の内部まで探られて、抱かれた。その度に自分を覆っているものが剥がれ落ちていく。徐々に魂が暴かれていくような不安と当惑。そして同時に快楽を感じる。
 彼女は唇で愛撫するように、舌をまとわりつかせながら、陰茎を頬張った。口が塞がれて呼吸がしにくい。
「あ……」
 レジーナの髪を握り締め、堪えられないように漏れたグレンの愉悦のため息が、さらに彼女を興奮させた。舌を蠢かせ、咀嚼するように唇でそれを撫でると、口内の男の性器から甘い液体がまた溢れたのを感じる。
 何ていうことだろう。今、自分は彼を悦ばせることしか考えていない。恥を捨てても、グレンに快楽を与えてやりたい。もっと。もっと気持ちよくなって、顔を歪めて、声をあげて。

 見下ろすレジーナの端正で小作りな顔。小さな顎をいっぱいに開いて、陰毛から伸びる男性器をくわえ込んでいる。あの潔癖なはねっ返りの少女が、美しい女になり、夫を持つ身となり、夫のものも含んだことのない口で、彼の男根を舐めて、愛撫している。自分が初めて、この女の口の中に男性器をねじ込んだのだ。
 羞恥と興奮に潤んで、泣き出しそうにも見えるレジーナは、しかし彼の様子を伺うように、それを口に含んだまま、こちらを見上げている。征服感に酔いながらも、グレンは自分が逆に屈辱に震え、被虐的とも言える気分を味わった。
「もっと、顔動かして」
 荒い息をつきながら、グレンは腰を動かして、一物をレジーナの口の中に軽く押し込んだ。彼女は顔を歪めたが、彼の動きに合わせるように、顎を律動させて、口の中の柔らかい肉で彼自身をすりあげた。レジーナの口からあふれ出す唾液が、律動の合間に湿った音を立てる。強烈な快感が体を駆け巡り、背筋が震えた。

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