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山間の城の物語」
第二章 千の目

1.千の目 (3)

2010.09.21  *Edit 

 兵士の手が、長い裾を捲り上げて、服の中に入ってくる。
 この男は、本当に自分をこの場で抱く気だ。
 いや、抱かれるなどという表現は間違っている。これから陵辱されるのだ。
「やめて! お願いです、やめて」
 複雑な屈辱に甘んじていた彼女は、ありったけの勇気を振り絞り、上半身を起こして、男の手を掴んだ。
「いいから静かにしてろって」
 兵士は容易く彼女の手を振り払うが、もう一度その手を掴んで、動きを止めようとした。二人はその場でちょっとした揉み合いになったが、城勤めの女と鍛えられた兵士では、結果は目に見えていた。
 右腕を男に押さえ込まれる。俄かに力が込められ、彼の左手で手首が締めつけられた。骨が悲鳴をあげる。
「いっ、痛い……!」
 彼女が思わず苦痛の声を漏らすと、兵士は低く吐き捨てた。
「何度も言わせるな。おとなしくしてろ。次に暴れたら、マジでぶん殴るぞ」
 びくともしない頑丈な体躯、圧倒的な膂力の差を再び見せつけられ、彼女は口を噤んだ。言葉が出なかった。
 目の前の男は、彼女に害意を持っている。騒いだりすれば、次は確実に殴られるだろう。
 そんな男がこれから自分にしようとしていることは、陵辱と呼ぶほかはない。彼女の性を踏みにじり、尊厳を冒涜する行為だ。
 兵士の手が、沈黙する娘の服の下に遠慮なく入り込む。太腿を撫でられ、固く閉じていた脚を両手で割り広げられた。その間に無骨な手が触れる。
 田舎の女性は、慎み深く、下着の上にもう一枚、ドロワーズを履いているのが常だったが、元々この地方の出身でない彼女は、それが野暮ったく感じられ、普段から薄手の小さな下着しかつけていなかった。
「なんだよ、ほら。あんただって、こんな薄い下着しか穿いてねえじゃねえか。男を待ってたんだろ」
 脚の間を撫で回しながら、兵士は含み笑いを見せた。分厚い掌の体温を秘部に感じる。その感触は、様々な意味で言葉に表し難く、彼女は再び全ての感覚を遮断したいと思った。
 寝る前だから、軽装だっただけだ。
 そう言おうとして、やはりやめた。もはやこの男とは、どんな意志の疎通もしたくない。彼女が何を言おうが、欲望か敵意を煽るだけなのだ。
 不思議だった。涙が出るほど不思議に思った。
 互いの愛情をもって男女が肌を重ねる行為と、欲望と時には害意をもって行われる陵辱が、物理的には同じ行為であるというのは、いったいどういうわけなのだろうと思った。何故男は、害意すら持っている女の中に侵入することができるのだろう。女はそんな男を決して受け入れられないはずだ。
 それなのに。

 無骨な指先が、下着を押しのけて忍び込んでくる。
「ほらな。濡れてるぞ。お前も気持ちいいだろ」
 剣を握る、乾いて荒れた指先が、柔らかい裂け目の中で、艶めかしく蠢く。濡れた音が、湿った夜の空気に散った。恐れていた自分の体の状態を知り、彼女はさらに赤面しながら、体を震わせた。
 決して、神かけて誓って、この場でこの男との情交など望んでいない。それなのに、体内には正体の分からない熱がうっすらと満ちようとしている。
 体の奥底から溢れてくる熱い粘液は、兵士の固い指先を簡単に招き寄せる。彼はわざと卑猥な、くちゃくちゃという音を立てて、中指を彼女の内部へこじいれた。
 体内に熱い異物感を覚え、再び彼女は目を閉じる。他人の、愛してもいない人間の体をこんなにあっさり、痛みもなく受け入れてしまった。
「おお~、ぬるぬる。天国だな」
 下品な台詞に合わず、男が体の中を探る手つきは、丁寧とも言えた。湿った音と共に男が指を動かす。それに合わせて、彼女の上体も僅かに揺れた。
「ほらほら、すげえ。どんどん溢れてくるぞ。感じやすいんだな、あんた。スッゲ可愛い」
 兵士がさらに指先を大きく動かすと、まとわりつく愛液が音を立てる。彼の低く荒れた声と共に、目を瞑った彼女の耳に入り込み、恥辱を撒き散らして責め立てた。
 鼓動が早く、体が熱い。
 恐怖と嫌悪以外の何によって、自分の体がそうなっているのか分からなかった。
 かつて彼女が男性に抱かれた時に、胸の奥にいつもあった甘い鳴動は無い。だが下腹部から湧き立ってくる、もどかしいような感覚は、形容することができない。
 肉体ではなく、精神が汚されていく気がした。体中を這い回る感覚を、醜い嫌悪感だと思えれば、どんなにいいだろう。己に対する絶望から、彼女は苦い溜め息を吐いた。

 頬と唇に、生温かい舌が触れた。
「よしよし、こんなに濡らしやがって。……待ってろよ」
 顔のすぐそばで、熱い息が吐き出される。衣擦れの音を聞き、彼女は目を見開いた。兵士はベルトに手をかけて外し、ズボンを脱ごうとしている。
 彼女は床に手をつき、素早く体を起こして、男の片腕を振り払った。
 絶対に嫌だ。この男とひとつになるなんて、嫌だ。
 そのまま身を翻して、塔の下へと続く階段を駆け下りようとしたが、直前で腕を掴まれて、引き戻される。
「いやっ……! いや! いやだ!」
 男のがっしりした腕に抱きすくめられ、頭が真っ白になった。逃れようと夢中で手足を振り回すが、鍛えた腕は緩みもしない。
「コラ、おとなしくしろ! 股びしょびしょにして、なに嫌がってるんだよ」
 彼女の乳房を握りながら、兵士は押し殺した声で言った。
 屈辱が全身を襲った。情けなくて、体から力が抜けていく。男の言うことは本当だ。自分の望みとは正反対だが、本当のことだ。
 後ろから、大きく服の裾を捲り上げられる。脚が外気に晒されて震えが走った。下着が引きちぎられるように、乱暴に取り払われる。男は彼女の体を抱え込みながら、腰を落として床に膝をつく。
「やめてっ! いやだ!」
 見知らぬ人間と体が繋がろうとしている。男の肉体の一部を受け入れて、子孫を残す行為と同じことをされようとしている。
 ごまかしようがない。肉体は確かに快楽に似たものを覚えていた。それでも好意も持っていない男との交合への予感は、彼女に恐怖を植えつけた。押さえ込まれながら、涙を滲ませて首を振る。
「うるせえな、もう」
 弱々しく肩を振る娘の仕草は、男に何の情けも呼び起こさなかった。ただ彼の欲情を極限まで引き上げただけだ。
 彼女の脚の間に、熱い肉の塊が触れる。
 いやだ。
 もう一度呟いた拒絶は、口の中でかすれて溶けた。
 愛液でぬるぬると滑る彼女の膣に、限界まで昂った男の肉茎が押し込められた。

 体を引き裂く激痛に、息が詰まる。 
 彼女は純潔の乙女ではなかったが、数年来、男性と交渉は無かった。彼女の膣は徐々にすぼまっており、突然ねじ込まれた巨大な異物に、悲鳴を上げている。その痛みはしかし、彼女にとって快楽を覆い隠す慈悲に思えた。
「うあ……たまんねえ。処女かよ、あんた? すっげー気持ちいい」
 両腕で抱えたままの小柄な体に体重を預け、男は掠れた声を吐いた。
 彼女が何も答えず、ただ体を僅かに震わせて、激痛に耐えていると、彼は構わず腰を振り始める。彼女の体を抱えたままでは、体が動かしにくかったのか、男は四つん這いにさせた娘の尻を背後から掴み、激しく腰を打ちつけ始めた。
 両腕は動かせる。だが、もう逃げる気力もない。 
 悲しく、惨めだった。
 男の行為よりむしろ、それを受け入れようと、体が潤い、快楽に熱くなろうとしているのが、何より彼女を打ちのめす。いっそのこと、それを惨めだと思うような、虚しい誇りも忘れて、行為に没頭できたらいい。
 男の動きに合わせて、滑稽なほどに激しく揺さぶられる体は、ひどく中途半端に男の行為を受け入れている。体内を往復する痛みの塊が、熱い熱を帯びてくる。一方で、彼女の精神は、体に引きずられて彼を受け入れることを拒んでいた。その葛藤こそ、強姦の屈辱より遥かに強く、彼女を苦しめている。
「うう……おあ……あ……」
 彼女を背後から貫きながら、男の息遣いが獣のように荒くなる。
「やめて。お願いです、やめて」
 男が体内に射精する予感に怯え、彼女は首を振りながら弱々しい声をあげた。  
「知らねーよ。中に出すぞ、ほらっ」
 慄く彼女の腰をがっちりと抱き締め、兵士は深い息を吐いた。彼女の体の中で、虚しく、苦く、熱い体液が放たれる。こらえていた涙が、静かに流れ出した。


 男が性器を引き抜くと、脚の間から粘つく液体が漏れ出した。
 力なく膝立ちになり、服の裾を押し下げる。男に背を向けたまま、嗚咽を噛み殺して、指先で涙を拭った。
「あ~、スッゲよかった」
 背後で身支度を整えながら、兵士が呟くのが聞こえる。褒め言葉と取れば楽なのだろうかと、他人事のように皮肉に考えた。
 肩に手がかかり、屈んだ男が顔を覗き込んでくる。
「さっきも言ったけど、強姦されたなんて、騒いでも無駄だよ。あんたが恥かくだけだからな。……気が向いたら、また声かけてよ。次はもっと優しくするからさ」
 欲望を吐き出してしまった男の声は、再び穏やかな音色になった。膝立ちのまま、半ば自失している彼女の頭を軽く撫でると、動こうとしない彼女を置いて、若い兵士は階段を下っていく。

 兵士が立ち去り、足音が聞こえなくなったのを確認すると、体中の力が抜けた。
「く……」
 嗚咽とともに涙が溢れてくる。
 今、泣いたらだめだ。もっと惨めだ。
 彼女は唇を噛んで嗚咽をこらえ、体の震えを押し殺そうとした。
 陵辱されたと思うな。惨めだ。
 だがそれでは、今の兵士との行為は、何だったのだろう。望んでいない行為であり、精神の片隅は、最後まであの男を受け入れることがなかった。しかし彼女の体の芯は、彼女を雌と見なして興奮する男の姿に、確かに欲望を覚え、熱く潤っていた。
 重い溜め息を何度か吐き出し、ねじれて渦巻く、得体の知れない感情を少しでも抑えようとした。深い嫌悪は、あの兵士より、むしろ自分の肉体の方に感じた。兵士の行為によって肉体が汚されたのではなく、兵士の行為を受け入れることによって、肉体が汚された。いや、元々彼女の肉体は堕落していた。そう感じた。
 脳裏に、遠く離れた地で戦っている、愛する人間の面影が浮かんだ。兵士との行為の最中には、全く思い出すことがなかった。彼の幻はしかし、彼女を慰めも責めもしなかった。
 このままではやりきれない自嘲に押し潰される。
 彼女は流れていく思考を切り落とし、周囲を見渡した。すぐそばに、兵士に剥ぎ取られた下着が落ちている。紐が引きちぎられていた。
 拾い上げたが、もう一度纏う気にならない。そのままにしておくわけにもいかず、ごみでも拾うような気持ちで、それを手の中で畳んで丸めた。
 強姦だと訴えても無駄だと兵士は言った。
 その通りだろう。でもそれでは、このままあの行為を受け入れたことにするしかないのだろうか。
 ゆっくりと階段を下って、見張り塔を下りる。段差の大きい階段を下りるために、大きく脚を動かすたびに、股間が微かに痛んだ。
 見張り塔から、城壁へと出る。城壁に体をもたれさせると、壁の向こうに広がる黒い林が見えた。さらに視線を下へやれば、外からの攻撃に対して鉄壁の守りとなる、垂直の崖が下方に見える。
 ここから転がり落ちれば、今体と心を満たしている、どす黒い虚脱感も消える。何もかも消える。
 馬鹿馬鹿しい。
 彼女は一瞬湧いた衝動を振り払い、顔を上げて空を見上げた。無数の星。無数の瞳が見下ろしている。

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