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山間の城の物語」
第二章 千の目

14.迷い子 (3)

2011.02.26  *Edit 

 膣から指が抜けていく。
 グレンはまだレジーナを見つめ続けている。指が抜けた瞬間、彼女の顔に表れた失望を彼は見逃さなかった。
 グレンの掌が頬に触れる。彼の人差し指と中指はレジーナの愛液にまみれ、彼女の頬にもその淫らな粘液が付着した。彼の顔が近づき、再び唇が重なる。すぐに舌が入り込んできて、くちづけは深くなった。唇の隙間から、グレンの吐息、唾液が忍び込んでくる。それは生々しかった。家族でも夫でもない、他人の男。彼が吐く息や唾液、舌を受け入れることが、とても汚れていて、同時に甘美なものであるように思えた。
「どうする?」
 唇を離したグレンは、笑って問いかけた。
「俺の用は済んだ。もういいや。お前はメシいらないって言ってたし、部屋に戻るか?」
 恍惚から急に現実に引き戻されて、レジーナは愕然とした。気がつかないうちに、ずっとグレンの服を握り締めていた左手に、感覚が戻ってくる。しかし彼女はまだそれを離さなかった。
「それとも、もっとしたい?」
 劣情を感じさせない声で、グレンは囁いた。頭を撫でられる。そうされるたび、レジーナは自分が子供になってしまったような気がした。
 彼の手は頭から離れ、乳房を撫でる。やすりで撫でられたような、強烈な快感が走り抜けた。
「ほら、どうする? いい子だから、どうしたいのか言ってみな。部屋に帰る? もうちょっとどこか触って欲しい?」
 レジーナは顔を紅潮させながら、ちらりと視線を落としてグレンの股間を見た。それは内側から膨らみ、ズボンの布地を押し上げている。
「それともこいつが欲しい?」
 レジーナの目の動きに気づいたのか、グレンは腰を動かして、彼女の腿に股間から立ち上がったものを軽く押しつけた。服ごしにその硬さを感じ、彼女の鳩尾はぎゅっと絞られた。彼はレジーナの体を探って興奮している。レジーナもまた、体を弄ばれて興奮している。夫婦でも恋人でもないが、男と女、違う性である。すべての男に対して、こんな感覚を覚えるわけではないだろう。では一体グレンの中の何が、自分を熱くさせているのだろうとレジーナはうっすらと考えた。
 グレンはもう一度レジーナの名前を呼び、膝の上に乗せたままの彼女をしっかりと抱き締める。レジーナの上半身は、どちらかといえば細身だが、鍛えられていて筋肉質だ。侍女たちに比べれば肩幅もある。しかしさらにひと回り大きいグレンの体は、彼女の体を簡単にすっぽりと包み込む。体が寄せられると、再び腿の横に彼の硬くなった器官が押しつけられた。レジーナの左手はグレンの脇腹あたりの服を掴んだまま。右手は自分の膝の上にある。その手を彼の背中に回せば、どんなに安堵するだろう。だがそれは、とても危険なことだった。
「レジーナ。どうする? もういいなら、俺はメシの続きを食うから、給仕を呼ぶぞ」
 首筋に唇が押し当てられ、耳元で声が響く。肌を貫いて骨をかすめるような低い声。レジーナは目を閉じ、拳を握り締めて短く陶酔した。
「待って」
 体が震えるのはこらえたが、声が僅かにおののいた。
「なに?」
 腕を緩め、グレンが顔を覗き込む。
 その瞬間、何を望んでいるのか。
 レジーナには分からなかった。
 突如として空隙が心に生まれる。それは雲間から差し込む初夏の強烈な日差しのように、彼女の意思、矜持、自我といったものをまばゆく照らして視界から消し去った。眩しすぎた。彼女の心はからっぽになり、ただ全てを相手に委ねたいという、焼き尽くすような欲望だけがあった。レジーナはその時、グレンの瞳しか見ていなかった。他の全ての影は強烈な光によって音もなく蒸発し、目の前の男が誰であるかも忘れ去った。
 すべて、この人に。
 目を見開いて硬直したまま、レジーナは心の奥底から、熱い塊がせり上がってくるのを感じた。
 すべて、委ねて、捧げたい。
 圧倒的な服従への欲望だった。レジーナの精神は瞬時に歓喜に包まれた。精神そのものが欲情し、高ぶっていくということを彼女は初めて経験した。
 愕然とグレンを見つめながら、レジーナの心は悦楽の浅い絶頂に達した。全裸の肌には全く触れられぬまま。

 その精神の愉悦は、肉体には何の変化も呼び起こさなかった。彼女の魂は間違いなく歓喜していたが、肉体がそうする時のように、肌が汗ばみ、脳が熱くなり、体の芯が震えるようなことは起こらなかった。
 従ってレジーナが我に返ると、歓喜の痕跡は記憶にしかなく、錯覚だったのかとも思えた。気がつけば彼女は元通りグレンの膝に座っていて、彼に顔を覗き込まれている。どのくらいの時間が経ったのかも分からなかった。
「レジーナ」
 もう一度呼びかけられ、左手で包み込むように頭を撫でられた。グレンの顔が近づき、のどぼとけの浮いたがっしりとした首が間近に迫る。そこに唇を触れさせたいと、衝動的にレジーナは思った。
 両手で抱え起こされ、だしぬけにグレンが立ち上がった。
 彼は先日の夜のように、テーブルの上にレジーナの体を横たえる。レジーナの視界は反転し、天井が目に飛び込んできた。
 両脚が大きく開かれる。その間に立ったグレンの手が、脚の付け根に触れた。滑らかな肌をそっと撫でられると、尻に力が入り、腰が僅かに浮いた。
 彼は仄かな明かりに浮かぶ、恥毛に包まれた赤黒い唇に触れた。ぬるぬるとぬめり、僅かに艶を見せている。それに導かれるように、陰唇の間に指を差し入れた。
「はあっ……」
 レジーナが溜め息まじりの甘い声をあげた。
 粘液に濡れたそこは、無骨で長い男の指を、望む場所へと簡単に招き入れる。
 女といえども、鍛えた肉体はしなやかで強靭に見えるが、人目に触れさせたことのない、脚の間の秘められた場所は、悲しいほど柔らかく、頼りなかった。濡れた肉の壁を指先で探ると、腰をねじったレジーナが、一層切ない声をあげる。ねちゃねちゃという、肌と愛液が触れ合う音が生々しく聞こえた。
 グレンが指を差し込んだままの膣からは、絶え間なくぬるい液体が溢れてくる。彼の掌、そして彼女自身の尻へと遠慮なく滴っていた。
 彼は指先で、レジーナの最も深い部分を探りながら、親指を緩く開いた秘唇の端に伸ばした。縮れた繊毛が生え揃う奥に、快楽を得るためだけの、小さな肉の蕾がある。
 親指をねじ込むようにして、そこを強く押すと、レジーナは溜め息を吐いた。
 反対の手で、肉芽を包む肌と粘膜を押し上げる。食卓にある蝋燭の炎が、むき出された赤い小さな塊を照らし出した。膣に入れたままの中指を動かしながら、右手の親指をそこに触れさせて、そっと震わせる。
「う……」
 レジーナは微かな呻きを漏らした。グレンの指が触れている陰核から、痛みのような尖った感覚が下腹部に刺さる。快感と呼ぶには強烈すぎる感覚に彼女が眉を寄せていると、体内に差し込まれた指がゆっくりと動き、奥の壁を撫でた。先ほどの、体の芯を熱く突いてくるような動きとは違い、触れて欲しい場所を優しく嬲られているようだった。もどかしさが溜まり、内腿の脚の間に力がこもる。
「ここ、痛い?」
 陰核を親指の先で撫でながら、グレンが訊いた。僅かに力を込められるたび、強い刺激が襲ってきた。
 痛いと言葉には出せなかった。男は右手をレジーナの脚の間に潜り込ませたまま、じっと彼女を見つめている。レジーナの顔に表れる感情を、ひとかけらも逃すまいとしているように。その透徹としながら熱い眼差しに向かって、レジーナは眉をしかめたまま、微かに頷いた。
 敏感な蕾から男の親指が離れる。
 レジーナをテーブルに横たえ、開かせた脚の間に立っていたグレンは、彼女のからだの中を探りながら、腰を落として床に膝をついた。
 高慢な馬鹿女と寝る気は無い。食事が済んだら出ていけ。
 そう言っていたのに。
 大きく開いた脚の間に、屈んだグレンが顔を近づける。指を差し込まれたままの熱い秘部を吐息が覆った。
 何故、跳ね起きて、彼を押し退けることができないのだろう。どうして従順に、脚を開いたままでいるのだろう。苦く淡い屈辱が、ゆっくりと広がる。同時に甘い高揚も。
 彼女のはしたない場所を覗き込んだ男は、微かにうわずった声で囁いた。
「濡れててぐちゃぐちゃだな。……きれいで可愛いよ」
 グレンはもう、今さっき言ったことなど忘れているようだった。レジーナもそのことを敢えて思い出して欲しいとは思わなかった。
 屈服した。そして屈服させた。

 グレンの左手が、薄い褐色の繁みをかき分け、膨らみ始めた肉の芽を再びむき出しにする。
 ぬるりとした、湿って柔らかいものがそこに触れる。鋭敏な彼女の陰核は、舌で触られただけで、ぴりぴりする刺激を伝えてきた。眉をしかめて、微かに腰を浮かせると、体の中にある指が膣の奥を撫でる。
「あうっ……!」
 重い快楽が背骨の奥、そして脳天へと押し上げられる。レジーナは思わず肘を食卓につき、体をのけぞらせた。体内から押し入ってくる愉悦は、まるで存在そのものを揺るがすようだ。
 膣で指が蠢きながら、再び陰核に舌が触れる。柔らかい舌先で、触れるか触れないかという、ごく浅く、繊細な動きで撫でられた。膣に押し込まれる快楽とは全く別の、もっとはっきりとした鋭い感覚が、ちろちろと炙られるように伝わってくる。
「んんっ……ん……!」
 歯を食いしばったまま、鼻の奥から甘い声が漏れた。自分でも驚くような、媚びた、切ない呻きだった。
 男の舌は、その後も陰核を優しく突いてくる。
 レジーナは思わず視線を移して、自分の下半身を見た。開いた脚の間に恥毛が繁り、その奥に男が顔を埋めている。まるで床に膝をついた彼に、テーブルの上で性器をさらけ出している自分が奉仕させているような錯覚を覚えた。初めての行為ではないが、蝋燭の明かりのせいでグレンの顔は陰り、薄暗い部屋の中で、とてつもなく淫靡な儀式をしているような気がした。グレンはレジーナが見つめていることに気づかない。彼女の赤い小さな果実を舐め、濡れそぼった膣を探ることに夢中になっているようだ。
 いつも油断のならない、図々しい男。自分の肉体が、夫以外の人間には触れさせたことのない女の部分が、彼をいっときでも魅了して、我を忘れさせている。焦げつくような甘く不快な優越だった。
 陰核を舌がそっと押し上げる。
「ああっ……、あ……! いっ……」
 突然尿意のような感覚が体の奥に突き刺さり、レジーナは再び目を閉じて首を仰け反らせた。
「痛い? ちょっと我慢しな」
 グレンが小声で囁く。声と同時に吐いた息が、陰核を震わせ、恥毛を僅かにそよがせた。
 再び舌がそこを押し上げる。目の前で火花が散ったような気がした。
「んああっ、ああっ……」
 下腹部が切ない。どうしようもない感覚がそこから満ち溢れ、レジーナは体をよじった。振り絞るようにして、それに耐えようとすると、体の中に差し入れられた指先が、邪魔をするように重く、確かな快楽を差し込んでくる。下肢から体の芯に流れ込んでくる感覚が混ざり合い、もみくちゃにされているようだった。自分の体ではないみたいだ。
「はああっ、まって……いや……! まって……」
 感覚が痛みなのか、快楽なのか、認識すらすることもできず、ただ激しい刺激だけが次々と押し寄せてくる。それに責め立てられ、レジーナは首を振って叫んだ。目尻に涙が滲み、男の指を取り込んだ秘所からは、体をよじるたびに、さらに愛液が溢れ出してくる。
 叫び、体を波打たせても、体中を暴れ回る激流をどうにもできない。
「ああああっ……!」
 甲高い声で悲鳴をあげながら、彼女は誰かに助けを求めるように、縋りたいと切望した。だれか。この場にはひとりしかいない。
 体を仰け反らせたまま、彼女は手を伸ばした。でも届かない。
 脚を大きく開いたまま、膝を曲げて彼を抱え込もうとする。それは無意識の仕草だった。足の裏が温かい服の布地に触れ、もう片方の足はグレンの首筋と髪を捉える。
「んうううっ……! あっ……ああっ!」
 柔らかい舌が、小さな蕾を責め続ける。彼女の叫びはかすれ始めた。
 こんなに甘く切ない苦しみは無い。一刻も早く逃れたい。この時間が永遠に続いて欲しい。
 意識は撹拌され、何も考えることができない。この時のレジーナは、ただ感じるだけの一匹の動物になっていた。
 もがくように宙に伸ばしていた手が、突然捕まえられた。望んでいたことを言葉もなく理解される。まるで彼と意識が同化してしまったようだ。
 レジーナの手を握った掌は、彼女よりひと回り大きい。捕らえられてしまった。そんな気がした。体の芯からほとばしる快楽のために、それを錯覚だと言い聞かせることもできなかった。

 グレンの顔が秘所から離れると同時に、掴まれていた手を軽く引っ張られた。すっかり息が乱れたレジーナは、唇を震わせながら首を起こす。グレンと視線がぶつかった。彼の褐色の瞳は、薄暗い部屋の中では闇と同じ色に見える。
 グレンには、緑が混じったレジーナの瞳は蔭った茶色に見えた。燭台の炎が揺らぐと、柔らかい影がレジーナの白い肌の上で踊る。彼女の肢体は、ほぼ全身が薄桃色に染まっていた。頭頂から垂れた一房の金糸のような髪が顔にかかり、扇情的な姿であった。
 彼は手を伸ばして、その長い髪をどけた。レジーナは朦朧とした視線を投げかけてくる。服を破いて組み伏せるまでは、手負いの肉食獣のようだったのに、今はまるで自分の居場所も分からない、戸惑う迷子のようだった。
 鍛えた体躯と勝ち気な態度は、レジーナを守っている鎧に過ぎないと彼は知っていたが、彼女を抱き、その脆い中身をむき出しにするたび、微かな軽蔑と言いようのない憐憫が訪れた。
 愛して欲しい。全身全霊でそう訴えかける、ひとりの女がそこにいた。
 相手が女でも、命令されるのは大嫌いだ。だが愛らしく請われると、聞き入れてやらずにはいられない。言葉にならない願いなら、なおさらだった。
 方法もその願いの捉え方も、おそらく彼女の連れ合いとは、全く異なるだろうが。

 腕を引かれ、食卓の上で上体を起こされたレジーナは、立ったままのグレンに頭ごと抱え込まれた。こめかみが彼の鳩尾に押し当てられて、固い腹の筋肉を服越しに頬に感じた。男の苦いような体臭が鼻をかすめる。
 再び言葉にできない安堵が押し寄せた。心臓は高鳴り、浅い呼吸を繰り返したまま、決してひとりでは味わえない安らぎに包まれる。
 素肌を晒し、局部を湿らせて、表情を情欲に緩ませた私を、この男が受け入れている。
 腕を彼の背中に回したいという二度目の誘惑をはねのけるため、レジーナは目を瞑らなければならなかった。
 頭の上に唇が押し当てられる。耳の上にも。頬にも。首筋、顎の下。軽い音を立てて頭に降りそそぐくちづけは、すべて優しすぎて、感触が残らないほど儚かった。
 顔を離したグレンが、レジーナを見つめる。
 思考に霞みがかかったレジーナは、彼の瞳に浮かんだ感情をぼんやりと受け止めるだけで、分析することはできなかった。そこに怒りや蔑みはない。ただ求められているというだけで、他のことはよく分からなかった。そして、自分がどんな風に男を見つめ返し、どう捉えられているかも、とても考えが及ばなかった。
 レジーナに瞳を据えたまま、グレンは右手を彼女の股間に伸ばした。熱く膨れ、男を受け入れるために開いた濡れた唇を、さらに熱い指が再びかき分ける。くちゃりという粘液質の音が、レジーナの恥と誇りを艶めかしく叩きのめした。
「レジーナ……こんなに濡れてる」
 レジーナの視線を捕らえたまま、グレンは囁いた。羞恥に顔が燃え上がるようだったが、目を閉じることも逸らすこともできない。
 テーブルの上で広げた脚の間の奥からは、白く濁り始めた粘液が垂れ、会陰をつたって尻の穴まで濡らしていた。そこからさらに樫の木の食卓へと広がっている。
「こんなにして、かわいいよ。……かわいそうに」
 吐き捨てるような、しかし慈しみに満ちた呟きが聞こえ、グレンはそこから指を抜くと、レジーナを熱っぽく見つめたまま、両手で手早くベルトを外した。
 重なるつもりだ。
 逃げなければ。断らなければ。
 これ以上、夫でない人間と繋がり、体液を受け入れるわけにはいかない。
 焦りはレジーナの頭で空転するばかりで、体は熱い鉛を押し込められたように重く、動くこともできなかった。
 拒絶の言葉すら出ず、ただ呆けたようにグレンを見つめるレジーナの目の前で、彼は服と下着を尻から落とした。硬く屹立した男の下半身がむき出しになる。ほぼ垂直と言っていいほどいきりたつ彼自身を目にして、彼女は喉がひくりと鳴るくらい切なくなった。
 レジーナがグレンに何度も組み敷かれざるをえなかったのは、彼が擁する軍事力と、背後に控えている大公の権力のためだ。
 しかし今、彼が持っているそういった力は、レジーナには見えていなかった。彼女を鎧うあらゆるものが剥ぎ取られて、最後に残っていた倫理と貞操も、見る間に風化して砂と化し、風に吹き散らされていく。目の前にいる男は、逆らうこともできない圧倒的な突風だった。
 レジーナの体の脇に手をつき、上体を支えたグレンが腰を近づける。秘唇に熱く硬い肉が触れた。

 彼女の体の入り口は、僅かな抵抗を見せただけで、すぐに頼りなく押し広げられ、硬く尖った彼自身を受け入れた。
「あっ……あああああっ……っあ……!」
 体を弓なりに反らしながら、レジーナはあられもない叫びをあげた。それは高まりすぎてか細く宙に溶ける。
 ねじこまれる圧倒的な異物感。熱く硬く、やわらかい他人のからだ。存在そのものを揺るがすような、質量すら感じさせる悦楽と衝撃。レジーナはいまだに、男性と繋がる以上の強烈な違和感を感じたことはない。
 独特の感覚だった。なぜこの感覚を自分が快楽と認識できるのか不思議だなどと、愉悦にうめきながら、他人事のように考えた。相手が夫なら分かる。世界でたったひとりのレジーナの伴侶であり、愛し、愛される人だ。衝撃や屈辱が快楽に変わる小さな奇跡が起こることもあるかもしれない。
 それが何故、こんな男とのあいだに。
 グレンと重なっていると、レジーナはいつも自分が情けなくなる。情けなくて汚い女。
 そして、自らに貶められている自分自身に、ほの暗い欲情を覚えた。
 ゆっくりとグレンの体が倒れてくる。挿入の衝撃に喘ぐレジーナは、温かく固い体に抱き締められた。再び葡萄酒の香りが鼻腔を撫でた。
 何かが静かに爆発したようだった。衝動をこらえきれず、ついにレジーナは自分を組み伏せた男の背中にしがみついた。体中に溢れ返った安堵は、ほとんど幸福と呼べるほどだった。
「ううっ……あ……」
 新鮮な空気を求めるように喘いでいると、唇が塞がれた。乱れた熱い吐息と舌が入り込んでくる。嫌悪も屈辱も、どこにも無かった。口の中を貪られながら、レジーナは手を滑らせてグレンの頭を抱えた。ゆるいくせのある、しなやかな髪が指先に絡む。
「レジーナ……」
 唇を外し、グレンが囁いた。ぞくぞくして全身の皮膚が痺れる。
 グレンはレジーナから腕を解き、もう一度テーブルに手をつくと、息を吐いてゆっくりと腰を動かし始めた。静かに深く、熱い楔が体の最も奥を突く。
「ふぅっ……うあああっ!」
 体内で快楽が弾けとび、彼女は叫びながら腰を僅かに浮かせた。その瞬間、収縮した秘肉が男性器を締めつける。からだの中で、彼自身はさらに硬さを増して、大きく膨らんだような気がした。
 濡れた柔らかい筋肉に包まれ、グレンもたとえようもない悦楽を覚えた。大きく息を吐き、自身を女の中へとさらに突き立てる。そのたび、レジーナは悲鳴じみた声を上げた。小作りの美しい顔が、激しい快楽に歪んでいる。平時であれば見苦しく見えるだろうその表情も、今のグレンにはとてつもなく美しく見えた。こんなに愛らしく、淫靡で、美しい生物は他にない。

「レジーナ……」
 グレンの動きが緩やかになり、片手で頬を包まれた。真上にあるグレンの顔が、レジーナを見下ろしている。
「かわいそうに、レジーナ……」
 弾む息の隙間に、彼はそう囁いた。瞳には情欲と共に哀れみが透けて見える。
 以前にも彼に言われた気がする。いや、あれは夢の中だったのだろうか。覚えていない。思い出せない。
「グレン」
 彼女は目を瞑り、さらに強くグレンにしがみついた。掌に感じる服の布がもどかしい。彼の上着の裾から手を入れ、服を捲り上げるように、素肌の背中を抱き締める。
 熱かった。指先に、いつも感じる古傷の手触りがある。
 男はそれに気づくと、繋がったまま襟元の紐を解き、乱暴に服を脱ぎ捨てた。鍛えられた、しかし伸びやかな上半身があらわになる。
 なんて強靭で無神経で、厚かましい肉体だろう。レジーナのように、やわらかく頼りない場所などどこにもない。唯一の繊細な場所は、彼女の体の中にしっかりと収められている。それは規則的に動いて、絶えず熱い快楽を送り込んできた。
 日に焼けた肌と触れあい、抱きしめあい、胸の奥から溢れ出したのは、深く切ない安らぎだった。熱い肌から二人の男女の汗の匂いが散った。
 もう一度唇を重ね、レジーナの口の中を味わうと、グレンは体を起こして彼女の太ももを抱えた。
「あうっ……!」
 脚を持ち上げられると、より深く彼が打ちつけられた。つかまって快楽を訴える場所もなく、レジーナはテーブルに肘をつき、爪を立てた。
 グレンの動きは急激に激しくなった。荒れた男の吐息がレジーナの肌を乱暴に撫で、体が大きく揺さぶられて、豊かな乳房が揺れる。
「んああっ……まって……あああっ……! やだ……だめ……!」
 頭も体も高ぶり、すべての感覚が一点へ集中しようとしている。目尻から涙を流しながら、呂律の回らない声でレジーナは叫んだ。官能が波立つ。あふれかえる。
 最も大きな波が体の芯からほとばしり、目を閉じたレジーナの視界は、明るい光に満たされた。びくびくと腰が浮き、咥え込んだ男をそれまでにない力で、痙攣しながら締めつける。
「う……レジーナ……」
 名前を呼び、うめきながら倒れこんできた男を本能のようにレジーナは受け止めた。下腹部から広がる恐ろしいほどの愉悦と、彼の肌以外、何も感じることができなかった。

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