FC2ブログ

ココナッツ図書館 夜間書庫

スポンサー広告

スポンサーサイト

--.--.--  *Edit 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



登録させていただいているサイト様
「山間の城の物語」に投票
 ↑現在連載中の「山間の城の物語」が気に入ったら、クリックして投票してください。
「乙女の裏路地」へ 「にほんブログ村 小説ブログ」へ
fc2ブログランキングへ投票 「十八禁恋愛私花集」へ
*Edit TB(-) | CO(-) 

山間の城の物語」
第三章 紅蜘蛛の花

1.紅蜘蛛の花 (4)

2011.10.06  *Edit 

「マイラ……」
 よそよそしい沈黙の後、エドワードは幾分落ち着いた声で呟いた。
「私は君をこのままにしておくつもりはない。いずれは……」
 その先を聞くのが怖かった。急速に動悸が襲ってくる。マイラは首を横に振って声を張り上げた。
「わたくしのことは、どうぞご心配なさらず。無事に婚約者が戦地から戻りましたら、結婚いたします」
 肩を掴むエドワードの手からふっと力が抜けた。彼は僅かに瞠目して唇を噛んでいる。虚を突かれたエドワードの表情を見て、彼がマイラの言葉を予想もしていなかったことを知った。心が騒ぎ出す前に、それを封じるように、マイラは言葉を続けた。
「ですから、無闇な戦いで散るわけにはいかないのです。神が貞操を守りながら死ぬことを許したとしても、未来の夫は許しません。わたくしは屈辱を忍んで、生きて、彼を迎えなければならないのです。他の未婚の娘たちも同じ気持ちのはずです。戦地から戻った殿方が、恋人が貞操を守る為に戦って死んだと聞いて、お喜びになるとは思えません。どのみち戦いに敗れれば、大公の兵士たちは私たちを殺す前に同じ仕打ちをするでしょう」
 沈黙を恐れるようにマイラは言葉を並べ立てたが、それも途切れてしまった。他に何か訴えることはないかと考える。だがエドワードへの苛立ちや焦燥、微かな恐れなど、その他の正体の分からない感情が渦巻いて、唇が震えるばかりだった。
 やがて、エドワードが静かに口を開いた。
「なるほど。そういう考えもあるか。私には婚約者などいたことがないから分からないが、そういうものなのかもしれないな。たとえ他の男を受け入れ、その子種を孕んでいる可能性があるとしても、生きていてくれるだけでありがたいのか」
 口調に皮肉が混じっている気がしたが、マイラと目を合わせた彼は、視線を緩めて微笑んだ。
「君が婚約していたとは知らなかった。……おめでとう」
 瞬間、胸を寂しく吹き抜けたものが何であったのか。マイラには分からなかった。彼女はエドワードから視線を逸らし、伏し目がちに呟いた。
「ありがとうございます。ご報告が遅れまして申し訳ございません」
「いや、気にするな。君の婚約など、私には関係のないことだ。わざわざ書簡で知らせてもらうほどのことではない」
 エドワードの声は穏やかで冷たい。突き放された気がして、心に滲んだ悲しみをこらえようと、マイラは微かに眉を寄せた。

 細い肩を押さえた手に、再びぐっと力がこめられる。マイラの体は鉄格子に押し付けられた。
「マイラ、鍵を持っているだろう? 私を牢の外に出してくれ」
 粗い格子の隙間から伸びた左腕が、マイラの背中を抱える。エドワードは微笑んでいたが、何故か彼女は一抹の恐怖を感じた。
「それはできませんと申し上げたはずです」
「では何故、こんなところに来た? 今、この牢も私の身柄も、大公軍が管理しているのだろう」
「それは……今夜はお祭りですので、せめてあなた様に葡萄酒でもと思って……」
 緊張に強張るマイラを見下ろし、エドワードは目を細めて破顔した。
「やはり優しいな、マイラは。私を哀れんでくれたわけか」
「そんなつもりでは……」
 マイラは慌てて頭を横に振った。笑顔のままでいるエドワードが不気味だ。かつての彼は、感情がそのまま表情に表れていたが、今はまるで仮面を張り付けているようだ。彼の胸に渦巻いているものを想像するのも怖かった。
「施しを与えているという優越に浸りに来たのだろう。落ちぶれた私に感謝されたかったのではないか。それともたかが葡萄酒で、私を言いくるめるよう、大公の将軍から言いつけられたか?」
 エドワードが何を言っているのか、マイラの脳にはすぐに浸透しなかった。ただ彼が、彼女の心遣いに嫌悪を抱いていることだけは分かる。彼の矜持を傷つけてしまったらしい。
「いいえ。私が勝手に考えたことです。奥方様も大公軍の司令官様も関係はありません」
「そうか? 既にお前は司令官と寝ているそうではないか」
 胸を突かれた。何故彼がそんなことまで知っているのだろう。唖然とするマイラの前で、エドワードは唇を歪めた。整った面差しが、冷ややかに変貌する。
「恥知らずめ。純潔を失った身で恋人と婚約するだけでは飽き足らず、占領軍の長に尻尾を振ってすり寄っていったわけか。戦地で戦うお前の恋人も、生き延びる為に何でもする淫売のような婚約者を持って、さぞ誇りだろうな」
 頭を殴られたような衝撃だった。いくら身分が異なり、かつての主人であったとしても、あまりにも痛烈な侮辱だ。
「エドワード様……あまりにも……」
「牢の鍵を出せ」弱々しいマイラの抗議をエドワードは乱暴に遮った。「ここから出ることができれば、夫人の望み通り、私はこの地を去る。お前たちのような娼婦どもがどうなろうと、もう知ったことではない」
「エドワード様……」
「副伯をはじめ、帰ってきた男たちが哀れだと私は思うがな。──お前の恋人は、お前が乙女でないことを知った上で婚約してくれたのか? なんと慈愛溢れることだ」
 マイラの背中に添えられていた手が、背骨を辿るようにして下へとおりていく。なだらかな腰のくびれは、まるで男に抱き寄せられる為に存在するかのようだ。温かい掌がそこを力強く撫でた。
 彼女が答えられずにいると、エドワードはゆっくりとマイラの腰を撫でながら続けた。
「それとも恥知らずのお前は、既に純潔でないことを隠して、恋人と婚約したのか。とんだ食わせ者だな。幼い頃は善良で心優しかったお前も、女になればやはり魔物だ」
 肩を掴んでいたエドワードの手は、マイラの首に回って、しっかりと彼女の細い体を抱き寄せた。左手が腰から尻へと滑る。細身の体格の割に、ほどよく肉づき、絶妙の曲線を描くそこをエドワードは乱暴な手つきで撫でた。
「エドワード様、何をなさるのですか」
 マイラの顔にうっすらと血が上る。彼女はかつての小さな主人の顔を見ることができず、視線を逸らしながら咎めたが、エドワードの答えは乾いていた。
「牢の鍵を探しているんだ。持っているのだろう」
 背中を抱いていた右手が、彼女の腰に巻かれた革帯を探る。彼の左手は柔らかい臀部を探るように撫で、揉んだ後に、長い服の裾をたくし上げ始めた。
「おやめになってください。わたくしは牢の鍵は持っておりません」
 マイラは身をよじり、格子の隙間から手を突き出して、エドワードの胸を押し返そうとした。しかし細身に見える彼の体はびくともしない。恐慌に襲われたマイラは肩を振ってエドワードの手を振りほどこうとしたが、それも果たせなかった。左手に持っていた水筒が床に落ちる。びしゃりと音を立てて、甘酸っぱい香りの飛沫が足元で跳ねるが、彼女はそれにすら気づかなかった。
「お前のような嘘つきの言うことなど信じられるか」
 ふくらはぎを夜の空気が撫でる。エドワードは、たくし上げられた服の裾から中へと入り込み、腰から膝上までを慎ましく覆った下穿きの上から、再び彼女の尻に触れた。二つの柔肉を握り、その柔らかさを乱暴に確かめるような手つきは、間違いなく彼の欲望を表している。
 丸めた背を向けて泣いていた小さな少年が、彼女に劣情を覚えているなんて。マイラの胸は得体の知れない感情に慄いた。必死に閉じてすり合わせた脚の間が、徐々に熱を帯びてくる。
 エドワードの息遣いがやや乱れた。右手で腰を抱き寄せられて、マイラは再び鉄格子に体を押し付けられた。額の骨に細い金属の棒が押し当てられて、錆の匂いが鼻をつく。この冷たい格子が無ければ、マイラの頼りない体は、成長したエドワードの腕の中に納められていたはずだ。格子の隙間から互いの腕を伸ばして触れ合うことはできても、体がぴたりと重なることはない。
 無慈悲な鉄格子は、マイラとエドワードの間を隔てるいくつもの妨げを暗示しているようだった。何もかも捨てて、このひとの胸にとびこめたらどんなにいいだろう。あるいは、こんな目の粗い格子ではなく、間に不動の分厚い鉄の板が立ち塞がって、触れ合うどころか見つめ合うこともできなければ、マイラの胸もこれほど切なく騒がないというのに。触れ合うこともできる。吐息すら感じるほどに近づけるのに、決して重なることはないのだ。

 エドワードの手が、下穿きの腰の紐を解き始めた。我に返ったマイラは、必死で彼の手から逃れようと、再びその体を押し退けた。
「おやめください。エドワード様」
 しかし応えすらなく、彼はたちどころに紐を解いて下穿きを雑にマイラの腰から落としてしまう。尻と局部を覆う小さな布地だけとなったマイラの尻を、熱い掌が再び撫で回した。力を込められるたび、マイラの華奢な体が軽く浮く。
「本当に下半身には隠し持っていないようだな」
「隠し持ってなどおりません。お願いです。お離しください」
 しかし今度もエドワードはマイラの声を無視して、腰を支えていた手を彼女の胸元に伸ばすと、突然服の上からその膨らみを握り締めた。男の容赦のない力に乳房を潰され、鈍い痛みが彼女を襲った。
 すぐにエドワードの手は、マイラの服の前を結び合わせている紐を解き始める。マイラは両手でそれを押し留めようとした。
「エドワード様、いけません。おやめになってください」
「やめて欲しいなら、素直に鍵を開けて、私をここから出すんだ」
 彼はマイラの手を乱暴に振り払った。遠い昔、夕闇に浸る紅い花畑の中で、彼に泣きながら手を振り払われ、叩かれたことを思い出した。
 彼女が追憶に捕らわれた僅かな時間で、エドワードは引きちぎるように彼女の服の紐をほどき、大きく広げた。鎖骨が美しく浮き出た白い胸元が露わになる。うっすらと脂肪を蓄えたそこは艶やかで、華奢ではあったが決して貧相ではない。
 青年の手は、肌を味わうように鎖骨の下をひと撫でした後、女の腰を両腕で押さえて、強引に華奢な体を逆向きにひねろうとした。反射的にマイラは抵抗したが、エドワードの腕力に敵わず、小さな悲鳴を上げただけで、後ろを向かされてしまう。格子の反対側の無機質な石壁には、床に置いた角灯が歪な光の輪を作り、その中にふたりの影が落ちていた。
 頑丈な革帯のように、マイラの胴にエドワードの腕が巻き付いている。マイラは再び身をよじって逃げ出そうとしたが、体が全く動かせない。牢の中に捕らわれている罪人に捕えられてしまった。


ネット小説ランキング>【R18部門】>山間の城の物語

 ↑ネット小説の人気投票です。投票していただけると励みになります。


登録させていただいているサイト様
「山間の城の物語」に投票
 ↑現在連載中の「山間の城の物語」が気に入ったら、クリックして投票してください。
「乙女の裏路地」へ 「にほんブログ村 小説ブログ」へ
fc2ブログランキングへ投票 「十八禁恋愛私花集」へ
*Edit TB(-) | CO(3)

~ Comment ~

NoTitle 

久し振りの更新ですねっ。
長い間更新されてなかったので心配していました。
お身体大丈夫なのですか?

またグレンとレジーナの関係がどうなっていくのか
楽しみです。

Re: 匿名でコメントくださった方 

コメント、ありがとうございます。

何のアナウンスもできないまま、しばらく間が空いてしまって申し訳ありませんでした。
体調は以前より回復していますが、思うように時間が取れない日々です…。
ペースは落ちると思いますが、少しずつでも更新を続けたいと思いますので、またよろしくお願いします。
レジーナとグレンもいずれ登場します^^;

ありがとうございました!

承認待ちコメント 

このコメントは管理者の承認待ちです
管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。
 ◆Home  ◆Novel List  ◆All  ◆通常ブログ画面  ▲PageTop 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。